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2017-10

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Guido Basso, Russ Little, Steve Wallace and Reg Schwager at Ichiriki 9/10/2016 - 2017.05.21 Sun

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( Guido Basso, Russ Little, Steve Wallace and Reg Schwager 2017 at Ichiriki )

今日はかなり古いライヴのお話になります、しかもこのトピックを書き始めたのが、最新トピック以前の三月の初めでした。だから内容も少し変。しかし直すのも面倒なのでそのまま掲載する事にしました。どうぞご了承下さいませ。

・     ・     ・     ・     ・     ・     ・     ・

日本では桜が満開のようですね。こちらはまだ少し寒さも残っており、未だに冬のジャケットを着こんでいます。日中はお日様も気持ちのよいほど照っているのですが、夜になると温度は急降下します。温度差が10度位は普通なので気になりませんが、着るモノが決まらないというか面倒な具合ですね。

さてあまりにも長い間ブログに手をつけていなかったので、いつもの調子が出てきません、何から書きはじめてよいのやら。仕事や介護や税金申告やら色々な事がのしかかってくる今日この頃です。そういう事は全て頭の端っこに追いやって、とにかく始めましょう。

今日はかなり古いライヴのお話しになりますが、これは一応ばあ様の記録なので記しておくことに致します。さて去年最後のライヴは一力レストランでのジャズ・ディナーでした。久しぶりにお会いしたジャズ仲間の皆様との楽しい団欒はもちろんの事、今回は5年ほど前になる一力の10周年記念で、特別なアーティストにお越しいただいたおりの豪華メンバーでの再編成ライヴだったのです。前回は不都合にも他のコンサートと重なり、私はこの一力でのライヴを15分ほどしか聴く事ができずに他のコンサートに行く事に。そんな分けで大好きな Guido Basso さんを聴ける機会が、また巡りまわってきた事がとても嬉しいでした。しかも同メンバーというのも文句なしですね。

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( Guido Basso 2017 photos by manmarukumi )

Guido Basso は Flugelhornist、trumpeter, composer, conductor, harmonica player, 50年もの長いカナダのジャズの歴史を背負った Montreal 生まれの凄いミュージシャンなのです。1994年にはカナダの Order of Canada (日本の文化勲章のようなもの)を授章しています。1937年生まれというから今年80歳になられますが、その演奏には衰えをみせません。彼の経歴は50年代の中期には Louis Bellson 率いる Orchestra でその奥さんである Pearl Bailey とツアーを共にしていたのですから、その才能は早くから開花していたのでしょう。1960年代から スタジオ・ミュージシャンとしてトロント に拠点を置いて活躍していました。またテレビなどでも活躍しており "Night cap" という TV Series にも出演していました。

存在感大の彼はカナダの音楽界では大御所なんですね。その彼との始めての出会 Rob McConnell の Boss Brass メンバーとしてでした。暖かくてひたすたにロマンティックなサウンドというのが一番の印象でした。ビッグ・バンドの楽しさを教えてくれた Rob McConell の Boss Brass や Tentet の手持ちの7枚の盤には Guido Basso の名前が連なっています。

近年では、ヴォーカルの Emilie-Claire Barlow とか Laila Biali とか思わぬ盤で名前を発見します。若いアーティストのサポートに回っているようです。30枚以上はクレディットに名前を見つける事ができるでしょうが、ご自身の名前盤は少なく残念でなりません。その中の " A Lazy Afternoon" これは Hammond B3 organ 奏者の Doug Riley とのデュオです。まったりとした Lazy な午後にピッタリの盤、タイトルそのものです。Guido の優しさとリリカルな演奏を堪能できる一枚でしょう。もう一枚は " Lost in the Stars " この盤は2004年に Traditional Jazz カテゴリーで Juno Award を受賞しています。

まずここで私の大好きな One Take という盤に収められている "My Romance" をお聴きください。
この企画はワン・テイクで録音したものをCDにしてしまうというもので、その時のアーティストの状態が丸ごと録音されたままを観客に提供するというものでした。何枚かシリーズで出ているのですが、今はもう続いているのかどうか?

My Romance by Guido Basso ← One Take のセッションから
you-tube by rbseguin
Joey DeFrancesco (Organ), Guido Basso (Flugelhorn), Vito Rezza (Drums), Lorne Lofsky (Guitar).

ALMA Records
Producer: Peter Cardinali
Recorded and mixed by Denis Tougas at
Phase One Studios, Toronto, Ontario.


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( Russ Little 2017 at Ichiriki )

さて次にご紹介する Russ Little (Russell Scott Mario) は、JAZZ FM でもお馴染みのパーソナリティーです。Trombonist, Composer, Arranger, Conductor 1941年トロント生まれです。今年76歳とはいうものの、まったくお歳には見えないです、その活力がお顔からあふれ出ていると言うか、ラジオから聞こえてくる声よりも存在感が重圧でした。トロント大学では指揮と作曲を学び、ホテルのオーケストラや R & B バンドを経て、その後の経歴には 1967,1968年に Woody Herman の Big Band そして1968年にベルギーで Slide Hampton のグループでも演奏しておられます。

そしてなんとなんと1969-70年のカナダのロック・オーケストラ 超有名な ”Lighthouse” のオリジナル・メンバーなんです。1990年に Russ Little Big Band を結成しスタイルにこだわらない多様な味を盛り込んだ リズム・アンド・ブルース またやファンキーで小粋で、シャープな切れ味の小さなグループ、だけどソロにはそれぞれの暖かさとメロディー・ラインが聴き所というスペシャルなバンドなんだそうです。

カナダの CBC テレビ局で Music Director やフィルムやドキュメンタリーのスコアーを作曲したりと多忙な日々を送った Little さんですが、ジャズだけに留まらず幅広い分野で活躍しておられます。2007年の National Jazz Awards で Torombonist of the year を受賞しています。Russ Little の Trombone は暖かくて純毛のブランケットに包み込まれたような音色(なんだか例えが変ね)、これが Guido Basso のリリカルな Flugelhorn にぴったりと合っていました。

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( Reg Schwager & Steve Wallace 2017 at Ichiriki )

さて今回のリズム・セクションは、トロントでも売れっ子のベーシスト Steve Wallace です。かなり前にご紹介した Mark Eisenman Quintet でもお馴染みですね。彼の紹介は改めてベースのカテゴリーでご紹介したいと思いますので今日は以前に取り上げた Mark Eisenman Quintet のリンクだけ貼っておくことにします。トロントではブロガーとしても活躍、ジャズや野球や色々な事を話題にされています。

Steve Wallace のブログ Jazz, baseball, life and other ephemera.

そして超が三つくらいつく売れっ子ギタリストの Reg Schwager です。コマーシャル・ベースで発売されているいる盤では、なんと5年ほど前に80枚以上の盤に彼の名前をみる事ができるのですから、今ではきっと100枚は超えていると想像できます。手持ちの盤にも数え切れないほどクレディットされており、ライヴやコンサートで何回も生演奏を聴いていますが素晴らしい技術の持ち主、それだけでなく歌心もあり繊細で聴く人の心にじわ~っと侵入してくるツワモノです。彼の紹介もギターのカテゴリーでしたいと思っています。トロントでこの Reg Schwager, Lorne Lofsky, Bob Piltch の3ギタリストは欠かせない存在です。


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左端のマイクを持つジョンさんは今回の仕掛人です。現役の頃はトロント・シンフォニーで、フレンチ・ホーンを演奏されていた彼のコネクションで、Guido Basso さんをお招きする事ができました。一力ジャズでは、こうしたジャズ仲間さんのコネクションで素晴らしいアーティストをお招きできる事が可能なので嬉しい限りです。

今回は、絶対に聴きたいと思っていた曲を Mr.M氏にお願いして Guido さんにリクエストして頂きました。なんとなんとその曲を一番に演奏して下さったので、ばあ様はもう感激!My Romance です。

1st.set:
1. My Romance (ばあ様の大好きな曲、シンプルでいて奥深い、彼のFlugelhornは最高)
2. Body and Soul ( なんと Bossa Nova 仕立てで Guido さんがシェーカーで味付け )
3. Alone Together
4. Child is Borne ( なんて素敵な選曲、一力の観客を考慮してのものですね )
5. Gentle Rain ( Russ のトローンボーンのソロが聴きどころです )
6. The Days of Wine and Roses ( ベースとギターのデュオです、トロントでは欠かせないお顔のお二人 )

休憩時に、一番初めにリクエストを演奏して下さった事に感謝し、ワン・テイク盤の企画の面白さをお伝えする事も忘れませんでした。リクエストは君だったのかい、喜んでもらえて嬉しいよと。強面のお顔は優しくなっていました。

2nd. set:
1. My Foolish heart
2. Jam Session ( トランペットの美しいハイ・ノートが響きわたりました)
3. Nearness of you ( リクエストは何か?という最後のお題に、Guidoさんの奥様がこの曲を)

今回は、キーボードの入らないちょっと面白い編成のライヴでした。ここだから出来るこんな組み合わせの楽器で繰り広げられるユニークな演奏。ミュージシャンがお互いを楽しみながらプレーしているのが感じられる距離感、一力だからこそ出来るライヴだと思います。今回の選曲はアレンジメントが楽しめる、皆の知っているスタンダードを中心にリラックスして聴けるものが多かったので、和やかな雰囲気で最後までいきました。たまにはこういうのもいいですね。次はどんなライヴが待っているでしょうか。



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(20年以上使い続けている、ワッフル・アイロンで作るママの味?)

母の日に、子丸とそのボーイフレンドが遊びに来てくれましたので、ブランチに手作りの大型ベルジン・ワッフルを作ってみました。林檎とブルーベリーのコンポートにプレーン・ヨーグルト、そして新鮮な苺もたっぷりと、その上からメープル・シロップをお好みで。時たま無性に食べたくなる一品、皆のフェヴァリット。もちろん美味しい珈琲と共に。

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Ben Paterson Trio at Ichiriki 4/16/2017 - 2017.04.29 Sat

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( Ben Paterson, Neil Swainson and Andrew Scott at Ichiriki 2017 photos by manmarukumi)

長いご無沙汰でした、あまりにも長すぎた更新無しの期間を持ちすぎると何から始めてよいのやら。最近は世界中で色々な事が勃発し過ぎて恐怖の何物でもない感情がむやみに掻き立てられます。絶対に有り得ないと言われていたトランプ政権、テロの恐怖、北朝鮮の暴走、核がアメリカのニューヨーク辺りに発射されたら、湖を超えたすぐ側にある私の住んでいる街など、もろに影響を受ける事になるでしょう。一番新しいニュースでは、アメリカの赤字を減らすためにカナダの木材にも20%も関税をかけると発言しているし、いったい彼の暴走はどこまで続くのか。ストレスに弱い私の血圧は上昇中です。この落ち着かないモヤモヤはトランプの選挙辺りから始まったのかも。

そんな情勢にも関わらず、こちらもようやく日中には春の訪れが感じられるようになりました。日中は17度位にも上がった日もあり、人々の身支度も軽装になり、気分的にも外に向いているような気がします。しかし夜になると温度の差が10度もあったりしてまだまだジャケットはかかせません。

さて今回は7カ月ぶりに参加した「一力」ライブを記録しておこうと思います。今までとはフォーマットが変り、テーブル・チャージという形式で一人頭20ドルのチャージ、そして御食事代加算というふうになりました。そして今迄閉店だった日曜日にライヴが行われる事に。今回は都合よくイースターの祭日だったので参加出来たのですが、普段は日曜日に働いているばあ様はこれから参加できる機会も少なくなるかも・・・

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( Neil Swainson, Ben Paterson and Andrew Scott )

久しぶりのライヴには大好きなベーシストの Neil Swainson と 大学で教鞭を取っている 博士ギタリストの Andrew Scott 、そしてメイン・アーティストは2012年からニューヨークを拠点として活躍している三十代若手ピアニスト Ben Paterson です。このピアニストは、ばあ様もお初の方、でもよく調べてみると三カ月も Steely Dan のアメリカ、カナダのツアーで50ものショーの前座を務めているし、サックス奏者の Von Freeman がお亡くなりになるまで定期的に彼のピアニストを務めていたそうです。今回のライヴの数日前にもトロントのジャズ・ビストロ(ここに出演できれば間違いないでしょう)でライヴをされていたので、これからメキメキ頭角を現す人材のように思われます。

1st. set:
1. Best thing for you would be me - 暖かい雰囲気の中で始まったライヴは元気な爽快なピアノの音色から、久しぶりのライヴだからばあ様もワクワクしていますね。心地よいスイング感は琴線に響きます、なんでしょうねこの親近感は。

2. Don't wait to long (vocal) - なんだかとてもブルース・フィーリングの強い傾向があると感じたヴォーカルでしたが、後から調べてみたら2004年にフィラデルフィアの音楽学校でクラシカルとジャズ専攻、卒業後にシカゴに移動していますね。そこで B.B.King や Buddy Guy の前座やシカゴ・ブルース・フェスなどにも参加、なるほどね、こういう事を調べるのもまた楽しいものです。

3. You'd be so nice to come home to - このヴァース、前奏部分が素晴らしく素敵だった。途中は少しアップ・テンポで乗りの良さが若さを強調している感じ。

4. When did you leave heaven - Jimmy Scott の持ち歌です。Andrew Scott .のギターが咽び泣くように歌っています。今迄聴いた彼のギターでは一番気に入りました、いやぁ~今夜のトリオは素敵ですね。

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( Andrew with his guitar )

5. Just in time - こちらも Andrew のギターをフィーチャーした曲、この曲はお好きなのかよくライヴで演奏されてますね。Ben のユーチューブを見ていると、何故 Andrew のギター・スタイルに白羽の矢がたったのか理解できました。今回は即席に組まれたトリオでしたが相性はとても良いでしたよ。

6. Kojo no Tsuki - なんと日本の曲「荒城の月」ではありませんか、素敵にアレンジされた曲は厳かとか重圧感はなく、あくまでも西洋人が感じる日本の感覚なのかもしれません。ライヴでは所々でストライド・ピアノが入っていたりしてちょっと楽しいと感じたのは自分だけではないはず。

荒城の月 ← Koko no Tsuki はここをクリックすると試聴できます。

7. Sweattin? - 休憩前はブルースで締めくくり、正確なタイトルは分かりませんが、ブルースである事は確か。今日のライヴは本当に若いエネルギーを感じる久方振りの楽しいライヴでした。

2nd. set:
1.The Simple life - まずはヴォーカルからスタートでした。中太タイプの声質、男の子っぽいというのか、ハスキーではなく、アルトよりの響く声で歌います。

2. Lucky Southern - Keith Jarret の曲とは思えぬ爽やかで軽快な南の島のリズムにのった曲ですね、こういう選曲もいいですね。トリオが本当に楽しそうに演奏しているのがいいですね。

3. It's too late - これもブルース、ばあ様はこの分野は詳しくないので何も語れません。 ただ彼がとてもブルース・フィーリングを持った歌い手さんという事は分かりました、かと言ってめっちゃ濃いブルースぽくないところが気にいりました。ヴォーカルは好みが激しく、ちょっとした癖が気になったりしてしまうので、あまり聴かないのですが。彼の若さとか、素直さ、飾り気のなさがストレートに伝わってくるのが好ましいでした。

4. Anthropology - 最後にきたのは Charlie Parker の曲、思う存分弾きまくって下さいな。なんと楽しいライヴだったことか。7カ月も干上がっていたので、このライヴで、ばあ様は元気回復です! 


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( Ben Paterson and Celine Peterson at Ichiriki 2017 )

今回は、いまでは Social Media Management や Artist Relations のお仕事をされている 故 Oscar Peterson の愛娘 Celine Peterson (セリーン・ピーターソン) のご紹介でベンを一力にお迎えする事ができました。 色々なイヴェントやコンサートでお顔を拝見する彼女ですが、お父様のレガシーを大切に守り活躍されておられるようです。いつかまた素晴らしいアーティストを一力に送り込んで下さるでしょう。

このピアニスト Ben Paterson は、ばあ様のお気に入りに殿堂入りしました。ばあ様は、Stevie Wonder の Golden Lady という曲のアレンジメントがとても好きです。これはユーチュブでも視聴できますよ。ハモンド・オルガンもなかなかの腕らしい、これから期待が寄せられるアーティストのようです。まだ日本には遠征されておられないようですが、いつか来日されたら是非、足をお運び下さいな。
沢山の音源や動画をアップされているので、お時間のある時にでも覗いて差し上げてね。

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Ben Paterson's Home page from here ベンのホームページにGO


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荒城の月を追い越すようなような高層のコンドがブロアー・ストリートに完成していました。
トロントの風景も知らない間にどんどんと変化してゆくのですね。

こちらは Monk の荒城の月

貴方はどちらがお好き?


追記 ↓ここをクリック
前向きにJazz! のJ worksさんが Ben Paterson のこの盤を二年前にリヴューをされていました。オルガン大好きなJ worksさんのリヴューもご覧くださいな。

Avishai Cohen Trio at Jane Mallett Theatre 6/30/2016 - 2016.08.19 Fri

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( photos by manmarukumi 2016 )

さてこの夏のジャズ・フェスティヴァルの二つ目は、Israel のベーシストである Avishai Cohen の率いるトリオの登場。ヴェニューは前回と同じく St. Lawrence Centre for the Arts でした。この会場、こじんまりしていてとても暖かい感じが気に入っています。何千人も入る大きな会場のステージで小さく見える彼らを聴くよりも、この位が落ち着いて聴けるような気がします、まあこれは個人的な見解だけど。もう大きな野外コンサートや、広場に設置されたステージを観覧(折り畳みの椅子は辛い)するのは疲れちゃって、ばあ様には無理だなって感じるようになりました。なので催し物が多々繰り広げられる、ばあ様の住処の近くにあるお祭り広場にも、めったに出かける事はありません。よぅは長時間の人ゴミ?(この単語は日本で今でも使っていいものか)に耐えられなくなったということなのですね。

さてAvishai Cohen というと、同名のトランぺッターがいますが、今回のアーティストは安定した人気で世界的に名前が上昇し続けているベーシストです。Jaco Pastorius に影響を受けてエレクトリック・ベースを始めたという彼ですが、Israel から22歳頃にニューヨークに移住しています。90年代の終わり頃から Chick Corea との関係であっと言う間に売れっ子に。今じゃ自分のグループを率いて世界中で演奏している次第です。

今回のトリオ・メンバーは:
Avishai Cohen - Acoustic Bass & Vocals 
Omri Mor - Piano
Danel Dor - Drums

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(初々しさがジャケットから感じられますね、2000頃の青い青年)

初めて彼を知ったのは素敵なジャケットの Colors (2000) という盤でしたが、この盤ではあまりベース自体にピンとくるものはなく、好きな Claudia Acuna というヴォーカリストが参加していたので期待していたのですが、自分の想像していたものとはちょっと違っていました。その後は興味も無くし聴く機会もなくなっていました。しかしジャズ雑誌を開くたびに彼の記事が掲載され、称賛され、どれほど彼が素晴らしいミュージシャンであるかを読む事になり、すでに15枚もアルバムを出しているのだから、今回はそれならやはり聴いておかねばという運びに。

今回のコンサートでは、主に2015年の From Darkness というアルバムからの曲を中心に演奏されました。ベーシストだけに留まらず作曲家、開拓者、バンドリーダー、シンガーと色々な分野で才能を発揮、ばあ様は彼のヴォーカルを今回初めて聴きましたが、なんと好みの声質、しかもヴォーカル・スタイルが感性にとてもあって大好きになりました。

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(今回のお席もステージから6列目で、アーティストがよく見えました)

ファースト・セットからジャンルにとらわれないワールド・ワイドな展開を繰り広げました。だいたい彼を一つのカテゴリーに入れてしまうのは不可能でしょう。ベースをまるで楽器ではなく、生物体(もちろん物体なのですが)のように扱って体の動きとベースが踊っているかのように、このベースはなんと105年モノの古いベースで、彼はこのベースを友、パートナーと呼び、どこに行く時も一緒さ!ステージでは一緒に踊りグルーブを感じ、彼のベースはまるで大きなハートをもった美しい女性の様だと公言しています。ベースがまるで肉体を持っているかのようで、彼の動きがたまにセクシュアルな状態に・・・

そして彼は特にトリオのピアニスト Omiri Mor を絶賛していました。やんちゃ坊主が欲しがった玩具を手に入れて愛しんでいるような具合で、はしゃいでいると言うか、彼に注いでいるアテンションが半端ではない事がヒシヒシと感じられるのでした。確かに Avishai のスタイルにピッタリと合うパワフルなパフォーマンスです。その若さがグイグイと開化するのを Avishai が導いているかのようにも捉えられます。美しい旋律のピアノ・ソロも余計な音がそぎ落とされて気持ちのよい演奏でした。

ドラムスの Daiel Dor も好感の持てる演奏で、心地よい細やかなブラシュ・ワークや、熱のこもったコントロール抜群の撥さばきも、トリオにぴたりとはまっていたと感じました。(ばあ様はあまり煩いドラムスが苦手なのです)しかし Avishai の彼に対する態度が今一不可解だったのは、最後の演奏が終わった後にお互いに労い、抱き合ったり、握手をする場面がありますね。ピアノの Dor には腕を伸ばして握手を求めたのに、腕を伸ばしているドラムスの彼には、一度腕をのばしたにもかかわらず、その手をひっこめて無視したのには?ドラムスの彼も出した手をどうしたものかと、思案してしまった様子。なんだか見てはいけないものを見てしまったような。最後もピアノの彼とはぴったりと肩を組んで御辞儀をしているのに、ドラムスの彼は横に立っているだけ、なんだか変な違和感を感じたというか、そういう印象を受けたのは私だけだったのだろうか。でもまあ演奏ではぴったりと息が合っているのだから問題はないのでしょう。

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しかし今夜のステージは、やはり Avishai が一番、俺様のステージなのだという気負いと、目一杯俺様のパワーを受け取ってくれという、強いメッセージを残して行きました。完全に彼を中心としたステージが構築されていました。三人が同等なトリオではなく、あくまでも Avishai の作品を作り上げる為のピアノとドラムスであるような感じを受けました。 中東風のリズムでは足が飛び跳ねベースも彼と一緒に踊ります、陶酔の世界はもう Avishai 色ではち切れんばかりです。最後の方では、皆が撥でリズムを刻みます。ドラムのソロから始まり、ベースを指でたたく音が太鼓になり、撥に持ち替えてそこらじゅうを打音の渦に、ピアノを離れた Mor までが、パーカッション風にトムトム、最後まで何が飛び出すか分からないぞ。全12曲、確かにステージ・プレゼンスは凄い迫力でした。

アンコールで、やっと彼のヴォーカルに出会えました。曲は、Nature Boy です。なんて素敵な声質でしょう。だみ声でもなく、少しハスキーだけど甘さも備えたそんな感じ。ベースの演奏とはまったく違ったアプローチというか、同じ人とは思えないこの繊細なヴォーカル。この時ばかりはヴォーカルに専念して、ベースは必要ないよっとマイクロフォンだけを持って歌っています。もう一曲のアンコールもヴォーカル、ピアノの伴奏でバラードを披露、こんなに素敵なヴォーカルは久しぶりです。「いやええわぁ~の世界!」

このパフォーマンスは凄い、CDジャケットの彼よりも二回り肉体的にも大きくなって中年パワーの全開ですね。あの初めて聴いた Colors からは想像も出来ませんでした。そりゃそうだよね、16年もたっているのですから。この夏は良いコンサートに恵まれてラッキーでした。お次、初秋の予定は意外なアーティストの登場、以前に悪体調の為ステージをキャンセルされたので、その分期待が膨らんでいます。

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(座り心地の良いバスに揺られて帰路につきます、今夜も満足!)

まだまだ暑い日々が続いておりますね。
どうぞ皆さまも体調に気を付けてられて、残暑をお過ごしくださいな。
ばあ様は子丸の猫守りをしています。たまに動物が周りにいるといいものですね。
部屋中がまた抜け毛一杯の状態になりますが、まっいいか。


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(このヴェニューはバス・ターミナルの傍。夜の一人歩きも大丈夫!)

Farewell Oliver Jones at Jane Mallett Theatre 6/28/2016 - 2016.07.13 Wed

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( photos by manmarukumi 2016 )

今年のトロント・ジャズ・フェスティヴァル( Toronto Jazz Festival )は、魅力的な出し物が満載でした。時間と財布の中身を考慮して考え抜いた末に手に入れたティケットは二枚。間違いない選択が出来たとばあ様は満足しておりますよ。

さてその二つのコンサートは、どちらも是非聴いておかねばと思っていたアーティストだった事です。今回ご紹介するのは、カナダのピアニスト Oliver Jones です。1934年モントリオール生まれというから、今年は82歳になられるという事で、すでにセミ・リタイアメントをされておられるので、この機会を逃したらもう聴けないかもしれないという危機感と、年齢を考慮したのも理由でした。カナダのジャズを語るにはなくてはならないピアノ・プレーヤー(この表現がしっくりきます) だと思います。

今夜のトリオは、ベース奏者の Eric Lagace とドラムスの Jim Doxas です。この若いドラマーは手持ちの盤を調べてみると多くの Oliver のCDに参加しているようです。メンバー紹介のおりには、トリオの Baby と呼んでいました。


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(日本ではあまり人気がないのかも知れませんが、私の好きなアルバムの数々)

そしてコンサートが開く前にステージに立ったのが、Oscar Peterson の愛娘の Celine ではありませんか、その彼女が特別にこのコンサートのオープニングを務めるという理由が、なんとこれが Oliver Jones のフェアウェル・トロント・コンサートになるからと言うではありませんか。Oscar と Oliver の深い関係は、彼らが幼少の頃から始まり、オリヴァー はオスカー の姉である Daisy に小さい頃からピアノを習っていたのでした。彼はモントリオールにある、St-Henri District というブラック・コミュニティーに住み、数件先に住んでいたオスカーのピアノ練習を毎日聴いて育ったそうです。 4歳の頃に初めてオスカーの演奏を教会で聴いて衝撃を受けたそうです。

そういう敬愛するオスカーに励まされ、とても恥ずかしがり屋で無口な少年が、ピアノの前では自由に自分を表現できる一人の青年になれた事を、感謝しているとオリヴァーは懐かしそうに話すのでした。自分がオスカーから受けた愛情溢れるサポートは多大なものだったと、そしてそういう自分も後輩を育てる事を忘れませんでした。若い貧しいミュージシャンの直面している厳しい現在の状況など、彼らが音楽の道を進めるように協力できればして欲しいと最後に訴えていました。

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(From TORONTOJAZZ.COM のページより)

さて今回の会場は、トロントのダウンタウンにある小劇場です。トロントのユニオン駅から徒歩5分という場所にある St. Lawrence Centre for the Arts という施設にある Jane Mallett Theatre でした。こじんまりとした半円形をしたステージで、ばあ様の座った席はなんとステージから4列目という近さ、しかも中央辺りだからトリオ全員の顔の表情がとてもよく見えました。しかもオリヴァーがお話をしている時は、まるで私の方を見て話しかけているような角度だったので、ばあ様は大満足です。偶然に最後のコンサートをこの距離で聴けるとはなんと幸せな事か。

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( photo from Jane Mallett Theatre home page 2016 )

さて一曲目は、美しいヴァースから入りました。Falling Love With Love という曲はきっと彼のお気に入りなのだと思います。彼のアルバムの中にも入っているから、きっとそうなのでしょう。ピアノ・トリオの良さを凝縮したような演奏で安心感が一挙にホールを包んでしまいました。二曲目はクラシカルのピースで始まりました、美しいイントロはベースの優しい弓使いで暖かい音色を放っています。それぞれのソロ・パートを十分に取ったトリオ演奏はいいものですね。3曲目は、Georgia On My Mind この曲が選択されるとは意外でした、あまり彼のスタイルでこういうタイプの曲を聴いた事がなかったから。4曲目は、ドラムスのソロがフィチャーされたカリプソのリズムを押し出したオリジナル曲、彼のルーツを取り入れた一曲ね。5曲目は、オスカーの作品、オスカーがもっとも気にいっていた When Summer Comes、これは本当に美しい小曲なのね、ピアノの旋律から空の色や、そこにある空気感や、景色を感じ取れるなんて、音楽とはなんと素敵なものでしょう。

次の曲もオスカーの Why Think About Tomorrow? 彼の事を語る時のオリヴァーは、もう感情が抑えきれない様子です。引退を目前にして感無量という感じなのでしょう。もうコンサートもツアーもしないけど、ピアノを弾かない分けじゃないからと、でも腰が痛くって長く座ってられないよ、とギヴ・アップのジェスチャーでお茶目な笑顔を忘れません。

しかも今夜は、普段僕のコンサートにはめったに現れない親戚の連中がきてるじゃないか、と観客席の方を指をさすオリヴァー。コンサートの始まる前に、ホールで少し煩い女性のグループが目立っていたのですが、それが実は彼の親戚であったのには、なるほどね。姪達だという事で、きっと叔父様の最後のコンサートをお祝いしていたのでしょう。その他には、彼が過去に演奏した今はもう存在しない、トロントにあったモントリオール・ビストロという名の知れたジャズ・ヴェニューの元オーナー夫妻が会場に、オリヴァーは目ざとく彼らを探しだし、感謝の気持ちを表していました。今夜は彼にとって特別なコンサートになった事は間違いないでしょう。

コンサートも終わりに近づいて、彼が一番好きだという Gershwin の作品をメドレーで。まずは Cheek to Cheek です、嗚呼 Fred Astaire の踊っている様子が浮かびますね。そして少しドラマティックに Rhapsody In Blue、 もう数曲 Gershwin が続いて最後の演奏はやはり Hyme to Freedom がきました。この曲は、色々な国、人種、社会的、政治的な苦境にたたされている多くの人々の為だけではなく、毎日を普通に生きる私達の為にもある曲だと思います。コンサートの締めくくりに、この曲が選ばれる場合が多々ある事がうなずけます。オリヴァーの最後のコンサートはスタンディング・オベーション、拍手はなりやまず、会場は暖かい雰囲気で包まれていました。

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( 前から4列目の中央席からのステージはこんな感じ、顔の表情までよく見えました)

さてオリヴァーさん、Officer of Order of Canada (カナダの文化勲章みたいなもの、長年の功績を称えて贈られる)はもちろんのこと、2005年にはカナダでも最高にあたる Governor General's Performing Arts Award も受賞されています。生まれ故郷のケベック州からは、The National Order of Quebec の Chevalier (Knight) ナイトの称号も受けられました。

ジャズの方では、Juno Award, Felix Award, National Jazz Award Keyboardist of the year など多くの賞を受賞されています。その功績から Montreal International Jazz Festival からは、カナダのジャズの発展に貢献した音楽的才能を持った演奏者として、 Oscar Peterson から第二番目のアーティストして認識されました。でもオリヴァーさん、とても謙虚で優しいのです。1989年に制作された Oliver Jones in Africa というドキュメンタリー映画を観て私は彼に興味を持ったのかもしれません。音楽のルーツを辿るアフリカの旅をするオリヴァーと数人のミュージシャン、そこには Dave Young さんも参加されていました。ジャズに限らずちょっとしたところから、人やモノや場所に興味をもって掘り下げたくなるのは楽しい事ですね。

さてアンコールはソロ・ピアノで、何の曲だったか思い出せません。その後もなりやまぬ拍手、今度はトリオで意外なマイナーなブルース。オリヴァーは少し疲れた様子、きっと腰も痛いのでしょう。もう時間切れだ、ロビーでサイン会があるからここらで御しまいだよと、ステージの裾へ。今回は本当にラッキーな事に、彼の最後のコンサートを聴く事が出来てばあ様は幸せな気分で家路に着いたのでした。

コンサート・ホールはダウンタウンだったので、今回はバスを使用しました。コンドのすぐ近くのバス停から飛び乗ると、一本線でコンサート・ホールから数分のバス・ターミナルに到着します。これなら夜遅くても安心、帰路バス停に駆け込むとうまい具合に私の乗るバスが待っていました。このバスは普通の市バスではなく、長距離用のとても座り心地の良いシートなのです。ゆっくりと夜景を見ながら家路につくのもいいものです、頭の中では、Falling Love With Love のメロディーが繰り返し夜景と重なって動きます。

最近夜の運転がとても億劫になってきました。しかもほとんどのコンサートが仕事が終わってからのラッシュ・アワーに引っかかるのが最悪です、なのでヴェニューを選ぶ場合もかなり交通の便を考慮して決めねばなりませんでした。リタイアーしたら車の生活ともさよならしようと計画しているので、これも交通機関を使う良い練習ですね。シンプルな生活を目指して、少しづつ目標に近づけるといいな。

もうひとつ、オリヴァーさんは切手にもなっているのですね。なんだかとてもレトロなデザインですね。これだけ有名なカナダのピアノ・プレーヤーですが、日本ではあまり人気はなかったのかも知れませんが、カナダではとても愛されているミュージシャンのお一人です。

オリヴァーさん、ありがとう!お元気でね。

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(オリヴァー・ジョンズの切手)

Terence Blanchard's A Tale of God's Will (Requiem for Katrina) at The Royal Concervatory 4/2/2016  - 2016.04.15 Fri

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( photo from The Royal Conservatory program 2016 ) Terence Blanchard

なんと今週に入って冬に逆戻り(これを書き始めたのが4月2日です)、体感温度はマイナス15度に下がり、雪まで降る始末です。しかしばあ様の心の中は、熱いトランペットの音色と素晴らしいクインテットの演奏でホカホカなのでありました。今年に入って二回目のライヴ。去年買っておいたティケット、待ちに待ったトランぺッターの Terence Blanchard です。

80年代の Lionel Hampton や Art Blakey and the Jazz Messengers で御存知の方も多いと思いますが、私の場合は、まったくその後からの活躍で彼のファンになりました。(何故かばあ様は Art Blakey が苦手なのであります) 兎に角 Blanchard のエコーを効かせたウィーン、ウィーンという、クネクネした唸るようなサウンドに一時期どっぷりと嵌まっていたのでした。

さてこの A Requiem for Katrina (レクイエム)は、映画監督の Spike Lee の "When the Levees Broke: A Requiem in Four Acts" という10年前のハリケーン・カテリーナによる大惨事による被害を映像化したドキュメンタリーのサウンドトラックです。これを作曲したのが、Terence Blanchard とそのクインテットのメンバーでした。(今回のコンサートのメンバーは異なりますが、 ピアニストだけはオリジナル・メンバーの Aaron Parks でした)

10年前のハリケーンの様子は、こちらのニュースでもよく話題になっていました。それはショッキングな映像で、 今回の日本の東日本大震災を思わせるような状態なのでした。しかしあのアメリカという大国は、あれだけ資源があり、世界の何処かで災害があれば、どんなに遠くの国であれ、即駆けつけるのに、自国で助けを求めている人々には、どうなっているのという疑問を残す結果を招いていました。そこには醜いポリテックスがあった、被害にあった方々の怒りや悲しみ、そういう切ないものがこれらの曲には含まれています。今回のコンサヴァトリーでのコンサートは、「ハリケーン・カテリーナの為の鎮魂曲」。

今回のクインテットのメンバーは:
Terence Blanchard - trumpet
Khari Lee - saxophone
Aaron Parks - piano
Tabari Lake - bass
Justin Faulkner - drums

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(今回は、初めて最上階のお席に座りました。あまりに高い場所で少し怖ったです)

Blanchard は、すでに50以上の映画、テレビ音楽を手掛けており、ばあ様の持ち盤では、同じく Spike Lee 監督の "Malcolm X" などが内容も充実しており、お気にりの一枚です。Denzel Washington が好演していたのが新鮮でした。その他にも彼のアレンジによる "Jazz in Film" という盤もお気に入りです。(この盤には嬉しい事に、Joe Henderson, Donald Harrison, Steve Turre, Kenny Kirkland, Reginald Veal, Carl Allen などが参加)" A Tale of God's Will" はサウンドトラックと言うだけでなく、一つの独立した作品として聴いても素晴らしいと思います。

今回のレクイエムは彼にとって特別なものでした。それは Blanchard がニューオーリンズ生まれというだけでなく、彼がこのハリケーンで多くの友を失い、生まれ故郷が破壊された後に、政府の援助の手が、地域的な(アフリカン・アメリカンの人口が多い地区であった)、政治的な、色々な要素を含んだ複雑な状態に絡んだ故に即救助が届く事がなく、アメリカという国に失望し、また疑問を抱き、その怒りや絶望、どん底からの希望などを含んだ、メッセージが含まれたレクイエムを創作したそうです。観客が演奏から怒りだけを感じるのは避けたかったとも言っていました。ステージに立つ彼はそういうメッセージを伝える為にも、演奏の合間に経験した話を織り交ぜてざっくばらんに観客と向かいあいました。「大国と言われているアメリカは果たして本当にグレートな国なのか、俺にはそれが疑問だよ」と時にはフォー・レター・ワードを使って厳しい意見をぶちまけていました。

現在東日本の復興が遅れているように、彼の故郷ニューオーリンズの特定の地域も完全に復興したとは言えないそうです。そして彼らの経験した事は、アメリカでは起こってはならない事だとも言っていました。災害にあった人々は一つの収容所のような処に動物のように集められ、家族も場合によってバラバラにされ、その為に親の死に目にも会えなかった友人がいたそうです。(まるで戦時中の日系人に起こった悲劇が頭に浮かびました) 話を聞いていると胸が一杯になって涙が堪え切れなくなりました。そして地域の人々が自分達の力で自分達を救わねばならないと強く感じたのだそうです。そしてこのプロジェクトがスタートしました。

この"A Tale of God's Will" のCDの収益はこのハリケーンで被害に遭われた人々に使われるという事でした。そして今でもこうしてこの悲劇を目撃した人々の為にも、道徳的観点からも多くの人々に語り継がれなければならないと、活動を続けていくという事でした。国の政策に失望して信頼をなくした国民のやるせない行き所のない嘆きを表現したということなのでしょうか。でもその気持ちは少しわかるような気がしました。次期選挙のお祭り騒ぎのアメリカ。ドナルド・トランプが大統領になったら、なんて想像しただけでも寒気が走ります(人種差別の暴言を吐いたり、不可解な発言を多発)。それにも関わらずあんなに彼の支持者が多いなんて信じられないですものね、不可解なアメリカの政治、社会です。でもそれも現実のグレート・アメリカの一部なのかもしれません。

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Terence Blanchard のホームページ

Terence Blanchard – Trumpet
Aaron Parks – Piano
Brice Winston – Tenor and Soprano Saxophones
Derrick Hodge – Acoustic and Electric Basses
Kendrick Scott – Drums, Percussion
Zach Harmon – Tabla drums
Northwest Sinfonia, 40-member string orchestra: Conducted by Terence Blanchard

Track Song Title Composer Time
1. Ghost of Congo Square (Blanchard, Hodge, Scott) 3:01
2. Levees (Blanchard) 8:07
3. Wading Through Blanchard 6:27
4. Ashé (Parks) 8:18
5. In Time of Need (Winston) 7:53
6. Ghost of Betsy (Blanchard) 1:58
7. The Water (Blanchard) 4:07
8. Mantra Intro (Scott) 3:22
9. Mantra (Scott) 9:49
10. Over There (Hodge) 7:43
11. Ghost of 1927 (Blanchard) 1:38
12. Funeral Dirge (Blanchard) 5:51
13. Dear Mom (Blanchard) 3:39

さてコンサートの始まりは、ドラムのビートでスタート。このニューオーリンズという地域の歴史から始まります。"Congo Square" というタイトルは、今では地域の人々の集まる場所、物語は奴隷制のひかれた同じ場所から始まらなければなりませんでした。ハリケーン・カテリーナの進行したルートが、なんと皮肉な事に奴隷船がたどった海路とまったく同じだったのだそうです。

ドラムのリズムから次第にトランペットの哀愁帯びたサウンドが加わり、ピアノが後を追いながら少しメランコリーな雰囲気を漂わせて物語は進んでいきます。もうかなり以前に観たドキュメンタリーなので明細が思い出せません。でもこの曲を聴いているだけで、なんだか神聖な場所に立ったような錯覚に陥ります。物語全体を覆う雰囲気は一環して暗い空気が漂ってはいるものの、それから生まれる小さな息吹みたいなものも感じられて、ネガティブなイメージばかりではありません。

ピアニストの Aaron Parks の曲は美しく、気持ちが洗われるようなが透明感あり、このクインテットに必要とされる分けが、なるほどと理解できるのでした。この方も長い間聴きたいと思っていたピアニストだったので、この日はとても期待感もあって、少し興奮していたかもしれません。

Blanchard は、メンバーを紹介する時には、ヒューモアーをたっぷりと入れて楽しく進めていきました。彼が初めて Aaron Parks に出会ったのは、彼がまだ15歳の少年であった頃だそうです。そして改めて Kenny Barron に紹介されてクインテットのメンバーになったのがなんと18歳というのだから驚きです。そして今じゃ、そのツルツルだった顔に、ゴワゴワしたヒゲなんか生えているんだぜ、時が過ぎるのは早いもんだと、愛情を込めて Aaron を見つめる眼。なんだか暖かいものを感じました。

そしてベースの Tabari Lake は、彼が Berkeley で教鞭をとっていた時の教え子だったそうです。その腕の凄さはぴか一、ベース・ギターに持ち替えて少し長めのソロでそのテクニックを披露目。最強の5人ですね。

ドラムスの Justin Faulkner は、Blanchard が完全に信頼を置いているドラマーだそうな。その器量はジャンルを問わず、素晴らしい技術の持ち主で、今回のような繊細なパフォーマンスのような場合には、その輪の中に静かな重要性を見出し、ある日のメタル・ロックで、汗タラタラでイケイケ状態の彼を目撃した時は驚いたぜと、そのカメレオンのような正体に同じ人とは思えない凄さがあったとコメントしていました。

サックスの Khari Lee は、少し年配のアーティストで、Blanchard の娘の先生だという事もありますが、それでも娘には良い点をやってくれなきゃ困るぜっと、冗談交じりでご紹介。Blanchard に寄り添っている女房のような優しい演奏というか、フォローしているその姿勢がしっくりと言うか、礼儀正しい(きちっとしたスーツ姿に、お辞儀の所作に)その姿はなんだか、ジャズ・マンの鏡みたいな印象を受けたのは私だけではないだろう。いや~今夜のコンサートは本当に素晴らしかったな。満足のばあ様であった。

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(雪の後は、どんよりした空、トロントの4月はまだ寒かった)

それから彼は、トロントの天候の事も言わずにはおれなかった。その日は朝から雪が降り始め、午後には少し雪も積もっていた。彼はそれがとてもショックであったらしく、「今日は4月2日だぜ、外を見ると雪が降ってるじゃないか、雪だぜ、雪!俺はねニューオーリンズから来たんだ、信じられないよ。だから即ヴィデオにとって家族に送ってやったんだ、そしたら子供達からは、池のほとりでリラックスしている映像を送ってきたじゃないか。(笑)まったくトロントは凄い処だね!」、彼だけでなく私達だってこの雪にはまいりました。

さて、アンコールは彼のトランペットとピアノの Aaron Parks のデュオでした。スタンダートの曲でしたが、何ていうタイトルだったか思い出せません。曲の終わりに近づいてくると、演奏はゴスペルに変化していました。確か Amazing Grace の讃美歌だと思いますが、最後にはアメリカでもっとも愛されている唱歌で締めくくられていました。そしてある意味で(詩の背景にあるもの)、この曲が一番幕引きに相応しいものだったかもしれません。

久しぶりのコンサートで気分転換が出来ました。最近はお仕事とリハビリと家族の用事で自分の為の精神的なケアーを怠っていたような気がします。やはり好きな何かを定期的に入れて生活しないとダメだなって事を痛感しました。

ブログの更新もなかなか出来ませんでしたが、これは出来なければ無理にしないというスタンスでいるのでプレッシャーは無いのですが。やはり書きたい事が山ほどあるのでそれが出来ないというのに憤りを感じます。更新が少ないと訪問して下さる方も段々少なくなって、最後にはきっと忘れ去られてしまうのだろうけど、それもまた仕方がない事かと思えます。

まったく更新がないにも関わらず、時たまコメントを下さり、ばあ様の様子を尋ねて下さる、ジャズ友様達には感謝です。本当に有難うございます。この数カ月間、お返事できないままで本当に申し訳ありませんでした。

まあとにかくゆっくり、のっそりと続けていきましょう。
自己満足の発信源なんだから。


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(夜のブロアー・ストリートには、目を奪われる赤があった)

ばあ様の、靴フェチというか、靴が大好き。
夜のショーウィンドーにひと際冴えわたるこのチャイニーズ・レッド!
こんなスニーカーを履いて街を闊歩したいものです。
なんていいながら、持っている靴はほとんど黒という始末。
いつか靴の話題も取り上げてみたいと思っています。
「黒の極み」というタイトルで。

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