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2013-05

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Marshmallow Records in Yokohama (マシュマロレコード) #8 - 2013.05.16 Thu

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(上不三雄氏、勉強堂 横浜 2013年)

長いご無沙汰でした、皆様はお元気でお過ごしでしょうか。 今日はカテゴリー "Journey to The Land of Wonders" (ジャズ巡礼日本)の更新です。このカテゴリーでは30年ぶりに訪れたひっちゃかめっちゃかな日本ジャズの旅を綴っていますが、今回は横浜の続きといきましょう。

さて横浜で大変お世話になったジャズのマイナー・レーベル、マシュマロレコードさんをご紹介したいと思います。 "Olivier Antunes in Yokohama" の音合わせにご招待いただき、諦めていたトリオを幸運にも聴く事が出来たまん丸と子丸親子は、その前日にマシュマロレコードの上不三雄(じょうふみつお)氏とこの横浜で再会する事ができました。上不氏とはトロント(Gene DiNovi のコンサート)でお会いしてから長い年月が過ぎており、この再会はまん丸にとって特別に想い出深いものとなりました。

まずは上のお写真、"Stan Getz Dear Old Stan Vol. 2 OUT OF NOWHERE" を抱えてたたずんでおられる御仁が、横浜線の大口にある古い商店街に 「勉強堂」 という紳士服店を構えておられる、二代目の旦那さんである上不三雄氏であります。その商店にはもう一つの顔が、ジャズ・レーベル 「マシュマロレコード」 のオーナーであり、プロデューサーである上不氏の顔なのであります。西の大阪にも同じように二束のわらじを履きながら(実際にも四代続く履物屋さんのご主人)CDの制作や、コンサートなどで活動をされておられる、ジャズ・レーベルの「澤野工房」さんなど、ジャズのマイナー・レーベルを維持していくには並大抵ではない努力が必要とされるでしょう。夜は8時まで「勉強堂」さんで商いを、その後マシュマロのお仕事をされるという具合ですが、家族のサポートがあるからこれまでやってこれたと、奥様とご家族の「援護射撃」のお蔭と言っておられます。

上不氏は、1978年からこのマシュマロレコードをお一人で切り盛りされておられます。アーティストの選択、そして交渉、録音、レコード制作、ジャケットの写真から営業と全てを、コツコツとやってこられた氏のジャズに対する情熱には圧倒されてしまいます。

マシュマロを始められた当初は、大口商店街の宣伝放送を担当する役員であられた上不氏は、その放送関係のソフト制作会社が、なんとレコードを作っていることもわかってきました。いつか自分でレコードを作ってみたいという、熱い夢が段々と現実味を帯びてきたそうです。そしてマシュマロの記念すべき第一弾を、350枚限定で発表、エアチェック音源の初ディスク化したのが "Jay Jay Johnson 5'live at Cafe Bohemia new york 1957” でした。二弾目は Allen Eager の "Swingin' with Allen Eager" で限定450枚プレスされました。(私は、復刻盤でCD化されてから手にいれましたが、どちらもとても興味のある音源でワクワクしました)この36年間自分のスタンスをずっと守りぬいて、マシュマロレコードを維持され現在までに85枚以上もの作品を発表されてきた実績は一目瞭然、ジャズ・ファンにはなくてはならない存在だと思います。

マシュマロレコードという独特な色を持ち続け、その信念と御自分のこだわりに妥協しない姿勢が、多くのファンを惹きつけて離しません。多くのターゲットを目標にしているのではなく、ほんの一握りのジャズ・ファンの為に制作された貴重な音源のLP、CD化など歴史的にも興味のある作品も多く(去年発売された "Bud Powell in Scandinavia" や "Warne Marsh - Ted Brown Live in Hollywood 1957" など) Historical Series として、コアなファンがニヤッとするような作品を世に出しておられます。

国内だけに留まらずこの "Warne Marsh - Ted Brown Live in Hollywood 1957" は、アメリカでも最も厳しい評論家といわれる Larry Kart が、2012年のナンバーワンCDに選んだそうです。日本ではまったく注目されなかったCDだったのにと、上不氏は嬉しさを隠せません。

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( Chet Baker and Mr. Johfu in 1982, courtesy of Marshmallow Records )

そしてそういう一徹な上不氏の存在は、多くのミュージシャンから信頼を寄せられ愛される事になるのですが、この Chet Baker との一枚は1982年にパリの New Morning でのものです。Chet が冗談で上不氏を追い回してお尻をたたいたという逸話をお聞きして、ミュージシャンとの関係がただのビジネスではない事も感じられました。また Chet Baker が日本のレコード会社で一番最初に録音したのが、マシュマロレコードの "September Song" だったそうです。この盤がまた素晴らしい出来ばえ!まん丸のお気に入りでもあります。ピアノが Duke Jordan、そしてベースが Jesper Lundgaard なんだから 「間違いない!」

そして Duke Jordan も多くの素晴らしい録音をマシュマロレコードに残しています。どうやって実力のある素晴らしいミュージシャンを、マイナー・レーベルのマシュマロが口説き落とすのか?やはりマシュマロの一徹なポリシーに共感できるからではないかと思います。Duke Jordan の最後のパートナーであった女性が 「デュ-クはたった二人しか信用していなかった。ベーシストのイェスパー・ルンゴーと、もう一人はミツオです」 こう言われるまでに上不氏は多くのアップス・アンド・ダウンを経験された。でもこんな一直線な言葉を送られたら、プロデューサーみよりに尽きるのではないかと思います。

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( photos by manmarukumi )

さて、私とマシュマロの出会いはこの方を抜きにして語れません。ピアニストの Gene DiNovi さんです。初めて Gene さんのピアノを聴いたのは小さな教会のチャリティー・コンサートでした。その時に演奏された Hoagy Carmichael のポピュラーソング "Stardust" (オリジナル "Star Dust") のアレンジの美しさは今まで聴いた事のない素晴らしいものでした。オリジナルのメロディーをしっかりと残しているのに、そこには新鮮さと美しさがしっかりと織り込まれており、観客の耳を鷲づかみにして離しませんでした。それ以来私はGeneさんの「追いかけ」?になり、ご高齢である Geneさんの生を聴けるだけ聴いておこうと決意したのでありました。ちなみにその時のベーシストは、Neil Swainson だったのです。

その GeneさんのCDを多く制作されていたのが、マシュマロレコードだったのです。それから間もなく上不氏は2007年に GeneさんのCD録音の為にトロントを訪れておられ、そのコンサートで初めて上不氏にお会いする事になったのでした。多くの素晴らしい盤を制作されておられる上不氏とお会いできる事は、まん丸にとっては感無量といいましょうか、聞きたい事の半分もお話し出来なかった事が残念でなりませんでした。上不氏をご紹介して下さったジャズ仲間の Mr.M氏に感謝です。

そしてマシュマロは私の大好きな Bebop など、好みにあった盤を多く制作している事。ジャケットの写真、これがまたたまりませんミュージシャンの素晴らしい写真が選択されており、目で楽しむ事ができるジャケットも文句なし、マシュマロの虜になってしまったのでした。そして 「こんなもの売れるのかしら?」 と思うような盤が陳列されているのである。たとえば録音の状態はあまり良いとは言えないのだけど、歴史的にみてそれはなんとレアで興味深く、自分にとってはお宝という具合の類です。このブログでもある日ある盤に対して、「これには音が悪くてがっかりした」とかいうコメントを頂いた事があった。私にとってはGeneさんの若かりし頃に、彼の家の地下室で録音されたその音源は、何処にもお目にかかる事の出来ない貴重な録音で、バックグラウンドに犬の鳴き声なんかが聞こえてくる面白さなのである。その盤は "Tony Fruscella Brooklyn Jam 1952" というのだけどGeneさんがそこにいるというだけでなく、 Tony Fruscella というトランペッターの貴重な音源という事がまた凄いのです。なのでマシュマロのレコードは聴く人を選ぶかもしれません。でもその虜になるともう逃れる事はできなくなるかも・・・

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(今回の訪日でのマシュマロでのお買い物は、これたち!)

今回、せっかく横浜まで出向いたのですが「勉強堂」さんには時間的にどうしても都合がつかず訪問する事が出来ませんでした。なんとずうずうしい事ですが、まん丸は上不氏に今回のお買い上げをホテルまで配達して頂く事に!そして子丸と一緒に Harbie Stewardさんや、 Gene DiNoviさんなどを連れてこられたという、大桟橋入口 レストラン 「スカンディア」 にご招待して頂きました。落ち着いた素敵な雰囲気の店内で、色々な貴重なお話や厳しい指摘も頂き、まん丸は上不氏に出会えた幸運と感謝の念で一杯になったのでした。レストランの側にはHerbie Steward "Herbie's Here" のジャケットで撮影したというスポットもあり、横浜の夕暮れを満喫させていただきました。お土産にはなんとまん丸の大好きなベーシスト Dave Young さんの素敵なパネルを用意して下さっていたのです!もちろん上不氏が撮影されたものですが、私が Daveさんのベースが好きなことを覚えていて下さったので驚きました。帰国後そのパネルに、まん丸はDaveさんにサインをして頂きました。まん丸の大切な宝物です。

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↑ これらはまん丸のマシュマロ・コレクションの一部です。マシュマロが力を入れているジャンルに北欧のミュージシャン達がおりますが、私は比較的遅くその方面に開花しました。彼らの独特な雰囲気と、何か昔のジャズ・ミュージシャン気質というかを匂わせるスタイルがなんとも心地よいというか。長い間避けて通っていたのですが、聴いていくうちにだんだんその雰囲気がかもし出す静寂さとか、漂っている空気みたいなものに嵌まっていくのでした。その一人が Jan Lundgren です。彼の事は以前に書いているのでお時間があれば名前の所をクリックしてみて下さいな。私のお気に入りは "Les Parapluies De Cherbourg" です。今では Jan の大ファンになってしまいました。他にも Kasper Villaume, Henrik Gunde, Heine Hans, Olivier Antunes, そして大好きな Carsten Dahl などなど。マシュマロ経由で北欧の風が運ばれてくるのですね。書きたい事が一杯でもあまりに長くなってきたので、ちょっと削りながら進めていかねば。

マシュマロでは特にデンマークのミュージシャンとの深い繋がりがあり、多くのミュージシャンを招待してコンサートを現実化させています。その功績が認められて、デンマークのFM放送がマシュマロの作品を1時間もの時間を組んで、ホストにデンマークの評論家、Thorbjorn Shogren がマシュマロレコードを紹介しました。これは後にも先にもメジャー、マイナーを含むジャズ・レーベルでは初めての事だそうです。後にこの時の放送を聴かせて頂きましたが、英語のタイトルしか理解できなかったです。デンマーク語って難しそう!

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さて次のお写真で上不氏の横に膝まずいておられる人物はなんと、 Francis Paudras (フランシス・ポードラ) です。ジャズ・ファンであれば "Round Midnight" (Warner Bros, 1986) という映画をご覧になった方も多いと思いますが。この Round Midnight では Dexter Gordon が好演しアカデミー賞でノミネートされました。その原作者が Francis Paudras です。彼の自叙伝的な回顧録、原題 "Dance of the Infidels" (異教徒の踊り)は、映画では脚色されていますが Lester Young と Bud Powell がモデルとされています。Paudrasさんとどんな会話をされたのか、いつか沢山の秘話を本にして下さいとお願いした次第です。今回は上不氏の許可を得て貴重なお写真を掲載させて頂きました。

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( Mr. Johfu and Francis Paudras, coutesy of Marshmallow Records )

中学生の頃にジャズと出会い、青年期にヨーロッパや北欧を無銭旅行されて皿洗いしながらジャズのライヴ・ハウスに通ったという上不氏の経験や、多くのレコードや原盤や資料を火災で全て失くされても、また一からコレクションを始めそれ以上に収集したという根性には頭が下がります。マシュマロにはなんと未発表の音源が1800枚もあるというのですから、このジャズに対する情熱は凄い!としかいいようがありません。その中にはきっと Chet Baker のお宝も潜んでいる事でしょう。これらがどんなカタチでいつお目にかかれるのか楽しみです。

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(勉強堂の店内でミラーに写る上不氏 2013年)

もう少しで忘れてしまうところでした。この可愛いレーベルの名前 " Marshmallow Records" のマシュマロは、サックス・プレーヤーの Warne Marsh の曲からとられたものだそうです。

最後に、お世話になった Marshmallow Records の上不様、お忙しいスケジュールの合間に時間を割いて頂き、本当に有難うございました。沢山の資料も提供していただき感謝しきれません、横浜の旅はまん丸と子丸にとって素敵な思い出となりました。



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Marshmallow Records



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