kennyG830.jpg

2013-11

Mr.Gene DiNovi's Recording Session in Toronto 19-20/9/2013 - 2013.11.15 Fri

recordingsession500-1-2013.jpg
( Courtesy of Marshmallow Records 2013 )

先週は、紅葉も一雨降れば終わってしまいそうな寒い週末でした。日本の皆様はお元気でお過ごしでしょうか。トピックが前後してしまいましたが、9月にとても嬉しい事が二つありました。それは日本から録音の為にトロントを訪れておられた、マシュマロレコードの上不三雄氏と3年ぶりの再会を果たした事。そして大好きなピアニストの Gene DiNovi さんのレコーディングに立ち会うという、素晴らしい体験をさせて頂いた事です。本当は、関係者以外は録音に立ち会うなど問題外という状況なのでしたが、ジーンさんの奥様のお蔭で「まん丸は、シリアスなジャズの生徒であり・・彼女は静か」という事でオーケー・サインが出た時はもう胸が一杯になりました。諦めていたのでこれはもう本当に幸運としかいいようがありません。

色々な予定が重なり一時はどうなるかと思いましたが、録音で滞在された上不氏の貴重な四日間のうち、二日間をトロントの美しいビーチ地区にある録音スタジオで御一緒できた事は素晴らしい経験でした。しかも Gene さんのピアノ・トリオのレコーディングというのだから、これほど名誉な事はありません。 Gene DiNovi さんはこのブログでもお馴染みの今年85歳になるカナダのジャズ・ピアニストであり、「生きたジャズの歴史」という名声を持つお方です。幅の広い人脈と経験からそのお喋りの面白さには定評があり、コンサートではいつも観客から笑みと声援を誘います。今でもコンサートやライヴで現役を務めておられます。

今回は、 マシュマロレコード からジーンさんへの課題は、映画音楽のシリーズというお話を聞いて楽しみにしておりましたが、それが急遽 Gene さんのリクエストにより変更になり、 "Rodgers and Hart" のアメリカン・ソングブック集になりました。そこはお二人の信頼と長年のアソシエーションによる理解でその方向へ即移行する事になり、日本ではあまり売れない線という一人の作曲家集になりました。しかし Richard Rodgers と Lorez Hart の素晴らしい曲はどれも素敵なものばかり、二人の合作は1919年から Hart が1943年に亡くなるまで、なんと500曲も創作したというではありませんか。それらの作品群から Gene さんのお気に入りを録音されました。

beacharea450-2-9-2013.jpg beacharea450-9-2013.jpg beacharea450-3-9-2013.jpg
( photos by manmarukumi at a beautiful home in the beach area of Toronto )

場所は、閑静なトロントのビーチ・エアリア(オンタリオ湖の側)にある素敵な邸宅地にある録音スタジオでした。私が想像していたようなスタジオ(ガラス張りでそれぞれの楽器が独立している)ではなく、とてもオープンな自然なセッティングのキッチン・スタジオ?なのでした。そのオーナーでレコーディング・エンジニアでもある John Loach さんは、毎月そのキッチンでジャズ・ライヴも開催しています。題して "Jazz In The Kitchen" というとてもプライヴェートな環境でのジャズ・ライヴです。席は30席に限定され、 Mark Eisenman をリーダーとするピアノ・トリオと時にはゲストを迎えてのライヴになります。ピアニストの Eisenman さんは以前に Neil Swainson とのデュオ・ライヴや、Rex Jazz Bar でのライヴでご紹介済みです。このイヴェントは、最近始まったようでなかなか人気のようです。ワインを持参でリラックスした雰囲気でライヴを楽しめます、お席は直ぐに満席になってしまうようですよ。トロントにお住まいの皆さんは是非どうぞ!

Jazz In The Kitchen Great jazz in an intimate settingjazz in the kitchen johnl 500-2013
52 Pine Crescent Toronto, ON M4E 1L4 Arts Toronto Article ← ここでのライヴの記事

このスタジオは、トロント在住の多くのミュージシャンが録音に利用されており、所有者の John Loach 氏は、レコーディング・エンジニア、マシーン・デザイナーであるだけでなく、ご本人もジャズ・トランペッターでもあります。奥様の Patti Loach さんもピアニスト、パフォーマーでありトロントで活躍されておられます。今回の録音後に少し Loach & Patti さんのデュエットや Gene さんと Loach さんの演奏も聴く事が出来、イヴェントの予告などのご連絡も頂きまたトロントでのジャズの輪が少し広がった感じがしました。Loach さんのトランペットの音色は優しく暖かでした。

pattijohnlstudio500-2013.jpg
( photo by manmarukumi at John Loach's studio 2013 Gene, Patti & Johon )

さて今回のピアノ・トリオのベーシストは、このブログではすっかりお馴染みの Neil Swainson です。私の大好きなベーシスト、トロントだけでなくステーツ、ヨーロッパまたや日本からも引っ張りだこの、今まさに旬なカナダの誇るベース奏者です。近年は年に幾度も日本を訪れておられますが、横浜でのジーンさんのトリオ録音で、"At Red Brick Warehouse Live in Yokohama"、"Flower Of The Night",や "All Through The Night" など素敵なマシュマロ盤があります。(お時間があればニールのご紹介ページもご覧下さいな、その他にもカテゴリー「ライヴ」でニールとのピアノ・デュオ、Robi Botos, John Sherwood, Brian Dickinson, Richard Whiteman などもご紹介しています)。

そしてドラマーには若手の Ernesto Cervini を起用。まだ30歳になったばかりの彼ですが、Joe Lavano, Clark Terry, Cleo Laine, Pat Labarbera, Buddy Defranco, などとも共演、そして Herbie Hancock, Kenny Garrett, Roy Hargrove, Dave Holland などのビッグ・ネームの前座も務めました。私が始めて生の彼を聴いたのは2009年の The Benny Goodman Centennial Orchestra というグッドマンの生誕100年を祝うビッグ・バンドのステージでしたが、ステージではドラムだけでなくクラリネットも同等に演奏して観客を湧かせていました。それ以前に自身のデビューCD "Here" を2006年に制作しています。二人のヴェトランに囲まれての演奏でしたが、緊張したところがまったくなく、リラックスした雰囲気で軽快にリズムを刻んでいました。これからが楽しみな若い才能です。

nswainson450-9-2013.jpg gtrio350-9-2013.jpg gstrio450-2-9-2013.jpg
( Neil Swainson, Gene DiNovi, Neil Swainson, Ernesto Cervini, Courtesy of Marshmallow Records 2013 )

初日、私がスタジオに到着した頃には、かなり録音も進んでおり皆さんの雰囲気も和やかです。ジーンさん、前日は少し緊張されておられたように思えたので、やはり午後からスタジオに訪問したのは正解でした。思ったよりもレコーディングは順調に捗り、もう5曲も録り終えたというではありませんか。スタジオも明るくオープンで皆さんのリラックスした雰囲気は、気持ちの良い緑の環境も影響しているのかもしれませんね。

さて初めてプロの録音に立ち合ったまん丸ですが、この Stainway Piano がまたとても良い音色なので感激してしまいました。キッチン・スタジオに響くその音色の素晴らしさはもう夢心地。しかもこの空間をトリオと上不氏と録音エンジニアと私だけが共有しているなんて(私は只そこに座らせて頂いているだけなんですが)、今考えても信じ難いというか。なんと贅沢な事だったでしょう。

その後、録音はスムーズに運んでいきました。曲目はここで公開していいのかどうか分からないのでほんの数曲、私が気になったものをご紹介すると、"Little Girl Blue" まずはジーンさんが細かい曲の進行を指示され、ベースのペースも細部にいたるまで確認、気になるその辺りを集中して繰り返し、そして録音。「あれっ僕はFメージャーだけど、そこんところどうなってるの?」などなど疑問や、提案が飛び出し部分的に修正されてゆくその過程はなかなか興味深いでした。

昔なら気に入らなかったり失敗したりすると、初めから録り直しせねばならなかったが、今は必要な数小節だけやり直し、エンジニアがその部分を入れ替えたり取り替えたりするそうです。でもジーンさんは昔気質なので、何回も気に入るまでやり直したい方だけど、今のミュージシャンは一度で良いものを録りたいという方が多いので、やり直しをし過ぎるとだらけてしまって余計に駄目になってしまったりもするそうです。スタジオの録音って色々あるのね、と全てを見逃すまいと神経を集中してこの空気を吸収しようとしているばあ様でした。とにかくこの Stainway のピアノの音色が、あまりにも素晴らしいので大満足なのでした。もちろん演奏しておられるピアニストがジーンさんだからですね。

recordingsession500-2-2013.jpg
( Courtesy of Marshmallow Records 2013 )

二日目は、朝からお邪魔しました。キッチンのハイ・チェアーに座って日本茶を頂きながら、贅沢な時間を過ごさせて頂きました。人生でこんなに贅沢な演奏を経験できたなんて、本当にラッキーとしか言いようがありません。途中からエンジニアの奥様のパティさんがジョンさんに呼ばれてご一緒しました。そしてもう一人ジーンさんの自叙伝を執筆中という作家の Jack Batten さん(カナダ人の作家で30冊の著作がありジャズにも精通している)が来られました。三人はソファに座りトリオの演奏に聴き入りました。美しいヴァースの "My Funny Valentine" これは昨日録音した時はドラムも加わっていましたが、今日の演奏はドラム抜きでベースとのデュオでした。なんて素敵な一曲でしょう、曲が終わった後皆さんはため息の連続でした。

ジーンさんのピアノはやはり素敵です。"Spring Is Here" のバラードの美しい事、このアレンジの美しさなのですね私が Gene DiNovi というピアニストに恋をしたのは。オリジナルのメロディーを崩さないのに、そこには素晴らしいアレンジメントが施されているのです。ジーンさんのこの上品な飽きのこない演奏は、聴く人の気持ちを快くまた和ませてくれるのです。ジーンさん独特のスウィング感。これがジーンさんの人気の一つなのだと思います。日本で流行るアーティストとこちらで人気のあるアーティストって少しタイプが違うような気がします、どんなと言われてもうまく説明できないのですが。一人でも多くの方がジーンさんのピアノ・プレーの素晴らしさ、楽しさに触れられる日が来るといいなって心から思います。今回この貴重な機会を与えて下さった、マシュマロレコードの上不様、ピアニストの Gene DiNovi 様、奥様の Deirdre様、そして私の大兄様の Mr.M 氏に感謝いたします、本当に有難うございました。この素晴らしい体験、ジーンさんの熱いエネルギーを溢れんばかりに注ぎ込んだ気合の入った演奏は生涯忘れる事はないでしょう。

johfuatmasseyhall450-2-9-2013.jpg johfuatmasseyhall450-9-2013.jpg johfuatcafe450-9-2013.jpg
( photos by manmarukumi 2013 Toronto )

さて、予定よりも少し早く録音は終了したので、上不氏の唯一のリクエストである、トロントのマッシィー・ホール(Massey Hall) へジャズ巡礼に参りました。ここは60年前の1953年に Dizzy Gillespie, Charlie Paker, Bud Powell, Charles Mingus そして Max Roach の5人がユニットとして演奏した記念すべき場所、 "Jazz at Massey Hall" のコンサート・ホールであり、Parker と Gillespie の二人が最後にレコーディングした場所でもあります。上の二枚のお写真はそれは楽しそうに Hall の前に立つ上不氏、何処にも行かなくていいからここだけはもう一度訪れたかったのだと・・・ダウンタウンは地下鉄で行動するのが一番手っ取りばやいので、あっちゃこっちゃと裏道を歩きながらトロントの街をご案内するばあ様。Massey Hall の内部は残念ながら観覧できませんでしたが、その日もなにやらブルースの出し物があるようで、裏方の方が仕切っておられました。由緒あるビルディングを一周されて上不氏もご満足の様子、良かった。

その夜は、ディナーのお約束をしたダウンタウンの日本レストランに、サッパリとしたお洋服で登場されたたジーンさん、85歳とは思えぬお洒落さんです。レコーディングにも満足されたせいかとてもご気分も良さそうで、楽しい会話にお食事といつものジーンさんのお喋りに拍車がかかります。お話はジャズの歴史そのモノだから聞いていて学ぶ事が一杯。どんな質問にも答えてくださるのが頼もしい。そしてジーンさんは日本食が大好き、注文された 「ちらし寿司」 をぺろっと平らげてしまわれました。なんと生魚も問題無しなのでした。今夜はなんと上不氏とジーンさんを独り占めにしたまん丸ばあ様でした。今回の上不氏との再会はジャズのお話も一杯できて最高に嬉しかった。

これが、私の2013年の最高に素敵な9月の想い出になりました。

ジーンさん、お元気で素敵な演奏をずっと私達に聴かせて下さいね。



recordingsession500-3-2013.jpg
Mr.Gene DiNovi's Home page from here.


NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

まん丸クミ

Author:まん丸クミ
カナダのジャズ情報を
独断と偏見でおおくりします。

↑ のイメージは本人ではなく
まん丸クミの描いた点画です。

*掲載した写真(タイトルを含め)、記事の私的保存などは構いませんが、改変や転載等はご遠慮くださいね。

リンクはご自由にどうぞ、また過去記事へのコメントも大歓迎です。

カテゴリ

Introduction (ようこそ!) (1)
Introduction ( English ) (1)
未分類 (21)
Live (64)
Piano (5)
Bass (2)
Sax (2)
Trumpet (0)
Trombone (1)
Guitar (1)
Drums (0)
Vibraphone (1)
Vocal (3)
Favorite Tune (6)
Chet's Room (5)
Fred's Room (3)
K's Library (2)
K's Kitchen (6)
Buzzworthy CDs (8)
My Favorite Things (1)
Just Dropping By (掲示板、お知らせもどき) (23)
Journey to The Land of Wonders (ジャズ巡礼日本) (9)
珈琲処 まん丸クミ(ジャズ以外のお話) (4)

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

FC2カウンター

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

検索フォーム

RSSリンクの表示

QRコード

QRコード