Neil Swainson & Don Thompson / Tranquility - 2014.04.18 Fri

( photos by manmarukumi、Cd Cover painting by Neil Swainson )
日本の皆様は、元気でお過ごしでしょうか。こちらはクレージィーな天候が続き、温度も20度を越しようやく暖かくなったと思えば、次の日はなんとマイナス7度に下がり雪が降ったりする始末です。しかし今日は温度も8度と上昇し、週末には過ごし易い天候になると予報しています。これがカナダの気候なんだなぁ、とにかく温度差が半端ではありませんので老体に応えること。
最近はなかなかブログの更新も侭ならず、月一の更新もサボりぎみでした。新居にまだご招待できていなかったジャズ仲間さん達の訪問、猫のベビーシッター(黒い皮のソファーが傷だらけに、大泣!)、税金申告など避けて通れない事、楽しい事も嫌な事も含めてなんと忙しかったことか。未だにお役所から送られてくるはずの書類が届かず、4月末の申告期限に間に合うのかと、不安が頭をかすめる。まったくどこの国もお役所仕事って時間がかかりますね。
そんなイライラした気分を鎮めてくれる、素敵な盤を繰り返し聴いています。Cornerstone Records から Neil Swainson と Don Thompson の新譜が発売されました。待ちに待った、 Neil の第二段のリーダー盤です。そのタイトルは "Serenity" 静けさとか平静という意味ですね。「やっと楽しみにしていた二枚目ですね」、「いいものが出来たと思うよ是非聴いて欲しいね」 という事で、今回のデュオのお相手は多才な Don Thompson です。今回 Don はいったい何を演奏しているのって聴かねばならぬほど、彼が全ての楽器に通じているから、これまた心がワクワクしてしまいます。
Vibraphone も最高に良いけれど、この間聴いたピアノ( Don and Neil's live at Christ Church 2013 )の演奏も実に素晴らしかった。そして今回の彼はピアニストとしてクレディットされています。Don のピアノをじっくりと聴きたかったので、嬉しい一枚になりましたね。聴くほどに二人の落ち着いた演奏が、ざわつく心を静かな場所に導いてくれるようです。そして Don のピアノがなんと素敵なこと。ベースが控え目でピアノが前面に押し出されいるのは、やはり Neil の人柄が出ているような気がします。彼は曲のツボでしっかりとベースの存在を表現できる奏者だから、リーダー盤だからって無理押しで前に出るなんて必要ないのですね。デュオのバランスの良さを存分に楽しめます。
しかもこのジャケットの絵画は、なんと Neil 御自身の作品というから気合が入っていますね。きっと彼の故郷であるBC州の海岸辺りなのでしょう。才能のある方って、一つだけでなく色々な方面でそれを発揮する事ができるんですね、あまりにお上手なので驚いてしまいました。しかしこの画だけを観ていると、タイトルの静けさというよりも、少し荒々しい波の音と磯の香りが漂っているような印象を受けました。口数の少ない Neil の心の中を表現すると、こんな風に力強さがドーンと存在するのかもしれませんね。静寂の中の筋が一本通った強さなのでしょうか。あまり深く考えないで次に行きましょう。

( photo courtesy of Mr. Mitsuo Johfu ) Introduction to Neil Swainson
↑ この写真とても素敵でしょ、これは Gene DiNovi さんのレコーディングの折りに、マシュマロ・レコードの上不氏が撮影された一枚です。いつもばあ様のピンボケ写真で、まともなお顔が紹介できていないので、今回はこれを使わせて頂きました。良いお顔されていますね!Neil のご紹介ページも、お時間があれば読んで下さいませね。

余計な言葉がまったくない暖かい紹介文を書かれているのは、最近お亡くなりになったギタリストの Jim Hall さんです。 この二人の素晴らしいミュージシャンが、彼らの経験や思い出や希望をなんと素敵に美しく私達と共有してくれていることか、これ以上何を望めるでしょう。 エンジニアの Chad Irschick はこの完璧なバランスの保たれた、貴重な瞬間を私達に届けてくれました。三人の仲間達よ本当にありがとう!ジム・ホールと締めくくっています。

Neil と Don の交友関係は35年にもおよび、あらゆるセッティングで演奏を共にしてきました。そして Neil が一番好きなのは二人で織り成すデュオ、そのパフォーマンスを今回披露できる事がとても嬉しいと語っています。
選曲も彼らのお気に入りですが、"Tranquility" というタイトルは、古い二人の友人の会話のような、そんな淡々とした内容を反映しているんだとか。アレンジメントも最小限に抑えて、最大の自発性を考えながら演奏に臨んだそうです。
まずは C. Parker の "Quasimodo からスタート。息の合った二つの楽器の楽しさ、鍵盤を踊る指の動き、弦を爪弾く感触、そういうモノが感じられる二人の音を丁寧に拾っていきましょう。両手に溢れんばかりに。二曲目のイントロからは、この曲 "Smoke Gets In Your Eyes" のタイトルが思い浮かびませんでした。好きな曲だけどこんな繊細な部分を含んだ曲だったのですね、Don のピアノは最高だ! 4曲目のNeil のオリジナル "Tranquil" の静かな旋律はただただ美しい。二人の織り成す絹のタペストリー。"Time Remembered" を聴いているとベースという楽器を演奏する事に必要なインテリジェンスを感じます。ソロのベースに絡む Don のピアノもジワジワと心の中に浸透してきます。"Mr. Lucky" 都会の軽快さ、リラックスした二人の演奏は、疲れをふっ飛ばしてくれるのね。このアルバムに収められたそれぞれの曲から、 Neil や Don の人柄が感じられる事でしょう。いつもライヴで見せてくれる熱い演奏とは違った一面を、この新譜で味わう事ができました。 "Tranquility" 是非あなたに聴いて頂きたい一枚です。

Cornerstone Records
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マシュマロレコード イヴェント ニュース
横浜のマシュマロレコードのお宝映像の鑑賞会です。Scott LaFaro, Stan Getz with Oscar Pettiford, Clifford Brown などなど興味をそそるラインアップですね。お時間のある方は是非どうぞ、お席に制限がありますのでお早い目にね。私も行きたい!!
