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2016-04

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Terence Blanchard's A Tale of God's Will (Requiem for Katrina) at The Royal Concervatory 4/2/2016  - 2016.04.15 Fri

terenceblanchard blog
( photo from The Royal Conservatory program 2016 ) Terence Blanchard

なんと今週に入って冬に逆戻り(これを書き始めたのが4月2日です)、体感温度はマイナス15度に下がり、雪まで降る始末です。しかしばあ様の心の中は、熱いトランペットの音色と素晴らしいクインテットの演奏でホカホカなのでありました。今年に入って二回目のライヴ。去年買っておいたティケット、待ちに待ったトランぺッターの Terence Blanchard です。

80年代の Lionel Hampton や Art Blakey and the Jazz Messengers で御存知の方も多いと思いますが、私の場合は、まったくその後からの活躍で彼のファンになりました。(何故かばあ様は Art Blakey が苦手なのであります) 兎に角 Blanchard のエコーを効かせたウィーン、ウィーンという、クネクネした唸るようなサウンドに一時期どっぷりと嵌まっていたのでした。

さてこの A Requiem for Katrina (レクイエム)は、映画監督の Spike Lee の "When the Levees Broke: A Requiem in Four Acts" という10年前のハリケーン・カテリーナによる大惨事による被害を映像化したドキュメンタリーのサウンドトラックです。これを作曲したのが、Terence Blanchard とそのクインテットのメンバーでした。(今回のコンサートのメンバーは異なりますが、 ピアニストだけはオリジナル・メンバーの Aaron Parks でした)

10年前のハリケーンの様子は、こちらのニュースでもよく話題になっていました。それはショッキングな映像で、 今回の日本の東日本大震災を思わせるような状態なのでした。しかしあのアメリカという大国は、あれだけ資源があり、世界の何処かで災害があれば、どんなに遠くの国であれ、即駆けつけるのに、自国で助けを求めている人々には、どうなっているのという疑問を残す結果を招いていました。そこには醜いポリテックスがあった、被害にあった方々の怒りや悲しみ、そういう切ないものがこれらの曲には含まれています。今回のコンサヴァトリーでのコンサートは、「ハリケーン・カテリーナの為の鎮魂曲」。

今回のクインテットのメンバーは:
Terence Blanchard - trumpet
Khari Lee - saxophone
Aaron Parks - piano
Tabari Lake - bass
Justin Faulkner - drums

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(今回は、初めて最上階のお席に座りました。あまりに高い場所で少し怖ったです)

Blanchard は、すでに50以上の映画、テレビ音楽を手掛けており、ばあ様の持ち盤では、同じく Spike Lee 監督の "Malcolm X" などが内容も充実しており、お気にりの一枚です。Denzel Washington が好演していたのが新鮮でした。その他にも彼のアレンジによる "Jazz in Film" という盤もお気に入りです。(この盤には嬉しい事に、Joe Henderson, Donald Harrison, Steve Turre, Kenny Kirkland, Reginald Veal, Carl Allen などが参加)" A Tale of God's Will" はサウンドトラックと言うだけでなく、一つの独立した作品として聴いても素晴らしいと思います。

今回のレクイエムは彼にとって特別なものでした。それは Blanchard がニューオーリンズ生まれというだけでなく、彼がこのハリケーンで多くの友を失い、生まれ故郷が破壊された後に、政府の援助の手が、地域的な(アフリカン・アメリカンの人口が多い地区であった)、政治的な、色々な要素を含んだ複雑な状態に絡んだ故に即救助が届く事がなく、アメリカという国に失望し、また疑問を抱き、その怒りや絶望、どん底からの希望などを含んだ、メッセージが含まれたレクイエムを創作したそうです。観客が演奏から怒りだけを感じるのは避けたかったとも言っていました。ステージに立つ彼はそういうメッセージを伝える為にも、演奏の合間に経験した話を織り交ぜてざっくばらんに観客と向かいあいました。「大国と言われているアメリカは果たして本当にグレートな国なのか、俺にはそれが疑問だよ」と時にはフォー・レター・ワードを使って厳しい意見をぶちまけていました。

現在東日本の復興が遅れているように、彼の故郷ニューオーリンズの特定の地域も完全に復興したとは言えないそうです。そして彼らの経験した事は、アメリカでは起こってはならない事だとも言っていました。災害にあった人々は一つの収容所のような処に動物のように集められ、家族も場合によってバラバラにされ、その為に親の死に目にも会えなかった友人がいたそうです。(まるで戦時中の日系人に起こった悲劇が頭に浮かびました) 話を聞いていると胸が一杯になって涙が堪え切れなくなりました。そして地域の人々が自分達の力で自分達を救わねばならないと強く感じたのだそうです。そしてこのプロジェクトがスタートしました。

この"A Tale of God's Will" のCDの収益はこのハリケーンで被害に遭われた人々に使われるという事でした。そして今でもこうしてこの悲劇を目撃した人々の為にも、道徳的観点からも多くの人々に語り継がれなければならないと、活動を続けていくという事でした。国の政策に失望して信頼をなくした国民のやるせない行き所のない嘆きを表現したということなのでしょうか。でもその気持ちは少しわかるような気がしました。次期選挙のお祭り騒ぎのアメリカ。ドナルド・トランプが大統領になったら、なんて想像しただけでも寒気が走ります(人種差別の暴言を吐いたり、不可解な発言を多発)。それにも関わらずあんなに彼の支持者が多いなんて信じられないですものね、不可解なアメリカの政治、社会です。でもそれも現実のグレート・アメリカの一部なのかもしれません。

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Terence Blanchard のホームページ

Terence Blanchard – Trumpet
Aaron Parks – Piano
Brice Winston – Tenor and Soprano Saxophones
Derrick Hodge – Acoustic and Electric Basses
Kendrick Scott – Drums, Percussion
Zach Harmon – Tabla drums
Northwest Sinfonia, 40-member string orchestra: Conducted by Terence Blanchard

Track Song Title Composer Time
1. Ghost of Congo Square (Blanchard, Hodge, Scott) 3:01
2. Levees (Blanchard) 8:07
3. Wading Through Blanchard 6:27
4. Ashé (Parks) 8:18
5. In Time of Need (Winston) 7:53
6. Ghost of Betsy (Blanchard) 1:58
7. The Water (Blanchard) 4:07
8. Mantra Intro (Scott) 3:22
9. Mantra (Scott) 9:49
10. Over There (Hodge) 7:43
11. Ghost of 1927 (Blanchard) 1:38
12. Funeral Dirge (Blanchard) 5:51
13. Dear Mom (Blanchard) 3:39

さてコンサートの始まりは、ドラムのビートでスタート。このニューオーリンズという地域の歴史から始まります。"Congo Square" というタイトルは、今では地域の人々の集まる場所、物語は奴隷制のひかれた同じ場所から始まらなければなりませんでした。ハリケーン・カテリーナの進行したルートが、なんと皮肉な事に奴隷船がたどった海路とまったく同じだったのだそうです。

ドラムのリズムから次第にトランペットの哀愁帯びたサウンドが加わり、ピアノが後を追いながら少しメランコリーな雰囲気を漂わせて物語は進んでいきます。もうかなり以前に観たドキュメンタリーなので明細が思い出せません。でもこの曲を聴いているだけで、なんだか神聖な場所に立ったような錯覚に陥ります。物語全体を覆う雰囲気は一環して暗い空気が漂ってはいるものの、それから生まれる小さな息吹みたいなものも感じられて、ネガティブなイメージばかりではありません。

ピアニストの Aaron Parks の曲は美しく、気持ちが洗われるようなが透明感あり、このクインテットに必要とされる分けが、なるほどと理解できるのでした。この方も長い間聴きたいと思っていたピアニストだったので、この日はとても期待感もあって、少し興奮していたかもしれません。

Blanchard は、メンバーを紹介する時には、ヒューモアーをたっぷりと入れて楽しく進めていきました。彼が初めて Aaron Parks に出会ったのは、彼がまだ15歳の少年であった頃だそうです。そして改めて Kenny Barron に紹介されてクインテットのメンバーになったのがなんと18歳というのだから驚きです。そして今じゃ、そのツルツルだった顔に、ゴワゴワしたヒゲなんか生えているんだぜ、時が過ぎるのは早いもんだと、愛情を込めて Aaron を見つめる眼。なんだか暖かいものを感じました。

そしてベースの Tabari Lake は、彼が Berkeley で教鞭をとっていた時の教え子だったそうです。その腕の凄さはぴか一、ベース・ギターに持ち替えて少し長めのソロでそのテクニックを披露目。最強の5人ですね。

ドラムスの Justin Faulkner は、Blanchard が完全に信頼を置いているドラマーだそうな。その器量はジャンルを問わず、素晴らしい技術の持ち主で、今回のような繊細なパフォーマンスのような場合には、その輪の中に静かな重要性を見出し、ある日のメタル・ロックで、汗タラタラでイケイケ状態の彼を目撃した時は驚いたぜと、そのカメレオンのような正体に同じ人とは思えない凄さがあったとコメントしていました。

サックスの Khari Lee は、少し年配のアーティストで、Blanchard の娘の先生だという事もありますが、それでも娘には良い点をやってくれなきゃ困るぜっと、冗談交じりでご紹介。Blanchard に寄り添っている女房のような優しい演奏というか、フォローしているその姿勢がしっくりと言うか、礼儀正しい(きちっとしたスーツ姿に、お辞儀の所作に)その姿はなんだか、ジャズ・マンの鏡みたいな印象を受けたのは私だけではないだろう。いや~今夜のコンサートは本当に素晴らしかったな。満足のばあ様であった。

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(雪の後は、どんよりした空、トロントの4月はまだ寒かった)

それから彼は、トロントの天候の事も言わずにはおれなかった。その日は朝から雪が降り始め、午後には少し雪も積もっていた。彼はそれがとてもショックであったらしく、「今日は4月2日だぜ、外を見ると雪が降ってるじゃないか、雪だぜ、雪!俺はねニューオーリンズから来たんだ、信じられないよ。だから即ヴィデオにとって家族に送ってやったんだ、そしたら子供達からは、池のほとりでリラックスしている映像を送ってきたじゃないか。(笑)まったくトロントは凄い処だね!」、彼だけでなく私達だってこの雪にはまいりました。

さて、アンコールは彼のトランペットとピアノの Aaron Parks のデュオでした。スタンダートの曲でしたが、何ていうタイトルだったか思い出せません。曲の終わりに近づいてくると、演奏はゴスペルに変化していました。確か Amazing Grace の讃美歌だと思いますが、最後にはアメリカでもっとも愛されている唱歌で締めくくられていました。そしてある意味で(詩の背景にあるもの)、この曲が一番幕引きに相応しいものだったかもしれません。

久しぶりのコンサートで気分転換が出来ました。最近はお仕事とリハビリと家族の用事で自分の為の精神的なケアーを怠っていたような気がします。やはり好きな何かを定期的に入れて生活しないとダメだなって事を痛感しました。

ブログの更新もなかなか出来ませんでしたが、これは出来なければ無理にしないというスタンスでいるのでプレッシャーは無いのですが。やはり書きたい事が山ほどあるのでそれが出来ないというのに憤りを感じます。更新が少ないと訪問して下さる方も段々少なくなって、最後にはきっと忘れ去られてしまうのだろうけど、それもまた仕方がない事かと思えます。

まったく更新がないにも関わらず、時たまコメントを下さり、ばあ様の様子を尋ねて下さる、ジャズ友様達には感謝です。本当に有難うございます。この数カ月間、お返事できないままで本当に申し訳ありませんでした。

まあとにかくゆっくり、のっそりと続けていきましょう。
自己満足の発信源なんだから。


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(夜のブロアー・ストリートには、目を奪われる赤があった)

ばあ様の、靴フェチというか、靴が大好き。
夜のショーウィンドーにひと際冴えわたるこのチャイニーズ・レッド!
こんなスニーカーを履いて街を闊歩したいものです。
なんていいながら、持っている靴はほとんど黒という始末。
いつか靴の話題も取り上げてみたいと思っています。
「黒の極み」というタイトルで。

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