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2017-04

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Live at Paul Hahn & Co. 11/24/2011 - 2011.12.06 Tue

paul hahnco500
( photos by manmarukumi )

今回、ご紹介するのはトロントのヤング・ストリート (1058 Yonge Street) にストアー・フロントを構えている1913年創立の "Paul Hahn & Co." です。このユニークなピアノ・ストアーには新しいピアノは見当たりません、ここではヴィンテージものの修復された Steinway, Heintzman, Nordheimer Piano などを専門的に取り扱い販売しています。

その他のサーヴィスには、修復、調律、修理、塗り替えなどもしておりお客様へのアフター・サーヴィスも徹底しています。そして1920年代にはなんと125ものピアノ・メーカーがカナダに、そして300以上もアメリカには存在していたというから驚きです。その北アメリカに存在する遺産的ピアノ達の修復、そしてそれを守っていく事に大きな使命と誇りを持って今の "Paul Hahn & Co." はトロントにならない存在になっています。

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( Click to enlarge pictures )
L(クリスマスの雰囲気が漂う素敵な夜の町並み)C(所狭しと置かれた数々のピアノ)R(ライヴの座席はピアノ・ベンチだったりします)

"Paul Hahn & Co." A History-A Philosophy (ポール・ハーンの歴史と哲学):

We do not sell new pianos at Paul Hahn & co. This comes as a shock to some that enter our showroom, and we are asked sometimes incredulously, 'So these are all USED?'

The short answer is yes, with some, forgive the pun, 'Key' differences.

We are not a dealer, and do not represent any manufacturer. This allows us to evaluate every piano on its own merits. Our core business since our inception in 1913 has been the rebuilding and restoring of piano. Paul Hahn.

<ポール・ハーン アンド カンパニーでは新しいピアノは販売しておりません。 この事はたまに私達のショールームを訪れるお客様がショックを受けることがあります。そして信じられないような顔をして「これらは全部中古なの?」と仰るのです。

単刀直入に 「Yes] です。しゃれを許して頂けるなら 「’キー’の違い」 と申しましょうか。

私どもは販売店ではございません、そしてどこのメーカーも代表しているわけでもありまん。これによって私どもが独自にそれぞれのピアノのメリットを評価することが出来るのです。創業した1913年からこの再建と修復は私どものビジネスの真髄なのです。 ポール・ハーン> 翻訳 まん丸クミ 

もちろんあらゆるタイプのピアノやメーカーに対応できるテクニシャン達がおりトロントのピアニスト達はこの由緒ある "Paul Hahn & Co." を信頼、尊敬しているという具合です。1997年より創立者 Paul Hahn の娘である Alex Hahn が正式に会社のプレジデントとして就任しました。そして益々この会社を盛り上げています。

そのひとつにこのユニークな企画があります。もう何回もここで開かれるライヴに足を運んでいますが、ある時は修復の終わった1930年代のドイツのピアノと1993年製のヤマハのピアノにドイツ製のハンマーを入れ替えたというピアノのデュオ・ライヴでした。とにかく随時ユニークなピアノのサウンドに触れることが出来るというのがとても新鮮でピアニスト達の高揚感もひしひしと伝わってきます。

davidalex400.jpg
( David Braid and Alex Hahn President of Paul Hahn & Co. )
News letter from Paul hahn & Co.

こういう興味深いピアノでピアニスト達はこの場所でユニークなピアノの修復お披露目がされる事になります。登場するアーティスト達はトロントでもメキメキ腕を上げている若手から熟練ピアニストまで様々ですが今回のデュオ・ライヴは私の大好きなピアニストの David Braid とクラリネット奏者の Phil Nimmons でした。そしてこのライヴ、実はまったくフリーただなのです、ミニ・コンサートで30分の時もあれば1時間の時もありその時のアーティストの予定によりますが。クラシカルのピアニストだったり、ピアノとオペラ歌手の共演であったりジャズ・ピアニストであったりと様々な楽しく思いがけない構成がされています。ライヴの前にはワインも用意されたレセプションもありリラックスした雰囲気です。常連さんはワインの差し入れなんかもしたり本当にアット・ホームな環境です、これもプレジデントである Alex の人徳のなせる業でしょう。

phildavid400.jpg

今回のピアニストはもうここではご紹介済みの David Braid ですが、共演された Phil Nimmons さんは、今年88歳になられる現役の Clarinetist, saxophonist, composer, bandleader, educator という顔をお持ちのカナダでは知る人ぞ知るのミュージシャン教育者です。1994年には Order of Canada (カナダの文化勲章みたいなもの)を受賞されました。彼の功績はカナダのジャズ界にとってはなくてはならないものでカナダの作曲家リーグのオリジナル・メンバーであり、1960年代には現代音楽のアドヴァンス的な学校を Oscar Peterson, Ray Brown と共に設立したりしました。この頃創作された Oscar Peterson の有名な組曲が "The Canadiana Suite" 1964 です。カナダにジャズを浸透させ、そのための教育に惜しみなく愛情を注いだ Mr. Nimmons であります。教育者としても長い経験を持ち、今も大学や音楽関係で現役なのです。頻繁なライヴは行いませんが大きなミュージック・フェスティヴァルなどには出演されておられるようです。

今回のライヴのパートナーの David Braid は、実は Mr. Nimmons の教え子、師弟関係にあります。年の差50歳以上なのですが、何故か違和感がまったくなく演奏にお互いの持ち味が反映しているのは二人の共有する基本的なものがとても似通っているからだろうと思われます。 David Braid の持つ不思議な間というか、始めて彼を聴いた時に感じた感覚なのですが、それが Mr. Nimmons にも感じたのは偶然ではないでしょう。

phil250.jpg Phil Nimmons's Biography

今回のライヴは、まったくの即行演奏でした。そこには楽譜も計画もなくただひたすらに Sponteneous (自発的) にサウンドとメロディーが感情を誘起する仕組みになっているというか。そしてパートナーのサウンドからどれだけ早くアイデアが浮かび形が変わっていくかなのだそうだ。初めは恐いかもしれないがそこから何か良いことが生まれ出るんだよと言う感じの説明でした。

7曲演奏されましたが、どれも一度切りのぶっつけ本番です、お互いに先導し、お互いに従い、お互いのサウンドから発奮されるのだそうです。それを受ける能力や才能も必要だと仰っていました。

showwindow500.jpg
なんとショー・ウィンドゥーがステージに早代わりです。外を通って行く人々がおやっとした表情で一瞬立ち止まる。

そしてこの場合のライヴでは、トリオ・コンセプトと称して観客がパフォーマーと一緒になる事も大切だそうです。観客からのリスポンスで次のものに繋がっていくから自分達と観客がトリオになるのだという事ね。そういう分けで曲と曲の間のお喋りがめちゃ楽しい! Mr. Nimmons のヒューモアーのセンスはピカイチといいましょうか、とにかく話が面白いので観客をぐいぐい惹きつけるのです。こんな先生なら嫌いな科目でも大好きになりそうですね。

観客との掛け合いも楽しい、「さっきの曲は中近東風に聴こえたけど何か意図はあるの」 「ただそうなっただけだよ」 「いったい何のキーだったの」 「ひたすらにCマイナーに近いかね(笑)」 「どうやってテンポを変えるの」 「ただただ自発的にそうなるんだよ」 「こういう場合同じ曲は繰り返せない、一つのものは一つのスペースに存在して、同じものは再生できないからね」 「ところで君の顔はどこかで見たような」 「○○年に貴方のクラスを取った事があります」 「あっそ、なるほどね」 という会話が飛びかいます。今回のライヴと同じようなYou-tube があったので貼り付けておきましょう。いつもとは違った種のライヴでちょっと新鮮でこういうのもたまには良いなあと思った次第です。




なんとMr. Nimmons のヤマハのクラリネットのマウス・ピースは水晶で出来ているそうです。これが割れてしまったらもう生産されていないので替えがないということだそうです。しかしリードは命がある限りあるリード・メーカーが提供してくれるという事でこの15年くらいは買ったことがないそうです。しかし一箱に本当に使えるものは2-3枚だとか。

さてもう一つご紹介するのはワークショップのある地下室です。ピアノのショー・ルームの奥には地下に続く階段がありそこには修復途中のピアノがありました。テクニシャンの Doug と愛犬の Chelsea がいました。「 Alex に写真を撮る許可を頂いたのでいいかしら」、そうすると 「どうぞそうぞ Chelsea の写真が撮りたいかい彼女は写真が大好きなんだ」 とか言いながら重たい愛犬をわざわざ抱きかかえてくれました。しかしピアノの中ってこんなになってるのね、今夜は時間があったのでライヴの前にめったに見る機会のないワーク・ショップを見学させていただきました。

shop500.jpg


shop3-400.jpg dougchelsea400.jpg shop4-400.jpg
L(ワーク・ショップで解体されたピアノ)、C(Doug & Chelsea)、R(解体された鍵盤かしら)

暖かいピアノ・ストアーを後に建物の壁を見上げると Paul Hahn & Co. の誇らしげなピアノのサインが夜景に素敵に浮かんでいました。夜も深まり楽しいライヴで満足した後は、ジャズ仲間さんと3人で「一力」へ直行。久しぶりのライヴと美味しいお食事と楽しい会話でまたエネルギーを補給しました。

今夜も楽しいライヴを有難う!

wall400.jpg
Paul Hahn & Co. homepage from here.


● COMMENT ●

あー、グランドピアノって素敵!
実に美しい形だと思います。
街並みともマッチしていていいですね。
日本だと、ちょっと、ういてしまうのが残念です。
とても楽しい記事をありがとうございました。

本当に珍しいピアノのお店ですね。
普通のピアノのお店と違って、色々なピアノが置いてあってそれだけでも楽しそうです。
特にピアニストにとっては魅力的なのではないかと思いました。

それに、ここでのライブは楽しそうですね。
クミさんが行かれたライブは、お話も面白かったようですね。
こんな場所はトロントしかないのでは?
音楽好きの人たちが集まる場所ですね。

Re: タイトルなし

chidorinちゃん、いらっしゃい。

ピアノを弾くchidorinちゃんにはたまらなく魅力的な店だと思いますよ。
きっとどのピアノも試したくなってしまうでしょう。

今の季節、クリスマスの飾りつけが目立つようになってきましたが
昔と比べるとひっそりとしています、景気が悪いなって感じがします。

近くだったらchidorinちゃんを連れていってあげたいです。

いつかグランドピアノの夢が叶うといいね(^^)

Re: タイトルなし

miyukiさん、おはようございま~す!

昨夜の雪から朝起きると銀世界になっていました。益々冬が深まってゆきます。

本当に楽しくて素敵なお店です、でも家から距離があるので30分のミニコンサートには
どうしても行く気にはなれません。もっと近くにあればなぁと思いますが贅沢な悩みね。

高齢の音楽家の方は長い歴史を経験されているので話がもうあっちゃいったりこっちゃ
いったりで興味深い話題をどっさりと持っておられるので話しを聞きに行くだけでも
有意義というか、ジーンさんにしてもそうですが観客をミュージックだけで楽しませる
のでなくお話をひっくるめてパフォーマンスという感じがします。

こういう場所があって私達は本当にラッキーと思います。
ここでは、まず招待状が常連さんにきますが席があいていれば誰でも入れるので店の
前に出してある看板をチェックして何かあればどなたでも参加できるのも嬉しいです。

この記事を読んで、思い出したことがあります。
楽器の修理ということでです。

札幌にもギターの修理で有名な津田さんという名人がいるそうです。
この人に修理に出した楽器は、新品よりよく鳴るようになって帰ってくるのだそうです。
一度だけお会いした(というか、見た)ことがありますが、機会があればこの人に修理に出したいと思いました。

世界中のいろんな楽器にそれぞれの専門家のかたがいらっしゃって、世界中のプレーヤーを支えているんだなぁと、あらためて思いました。

あひる

まん丸クミさん、こんばんは

アット・ホームな雰囲気、暖かなカナダ・レポートありがとうです。

ところでクミさんは楽器の演奏が出来ますか?
そして、どうやってジャズに出会ったのですか?

私は楽器ができないし、楽譜もチンプンカンプンです。

Re: タイトルなし

あひるさん、今晩は。

どんな楽器も修理のプロは信念を持って仕事に取り組んでおられますね。
でも楽器に限らずどんな修理でもやはり深い愛情と伝統や技を磨きながら
持続させておられるのだと思います。
そこには一つのモノを再生するという誇り持っておられる事でしょう。

あひるさんも良い修理屋さんが地域に居られるという事でこれからは安心ですね。

そちらももうじき雪が積もる事でしょう、運転に気をつけてくださいな。
いつもコメント有難うございます。

Re: タイトルなし

tam.raさん、今晩は。

このピアノ・ショップの事はずっと書きたいと思っていたのでやっと掲載できて嬉しいです。

> ところでクミさんは楽器の演奏が出来ますか?

実は楽器はまったく出来ません、小学生の時の trauma というかとても厳しい先生がいて
リコーダーを吹いて間違ったらドラムのバチで指をバシッと叩かれました。もう痛くって
涙がでるくらい。そんな先生のクラスが楽しめるわけがなくそれ以来音楽の時間が大嫌い
になってしまいました。中学、高校になると選択科目だったので音楽はそれ以来取っていません。
この頃になると美術の方に興味がいっていたので楽器にはまったく興味がありませんでした。

子丸がピアノを習い始めた時に一緒に練習しましたらいつの間にかついていけなくなりました。
それ以来楽器はギブ・アップしました。ピアノが弾けたらどんなに楽しいことか。

> そして、どうやってジャズに出会ったのですか?

まん丸が小学生の時に年の離れた兄がどういう分けかアコーディオンを習っていました。
その後クラリネットに変わり、その時にベニー・グッドマンとかグレン・ミラーとか聴いて
いたり、オスカー・ピーターソンがとても好きだったみたいで家でもLP盤を聴いていたので
そんな兄の影響がないとは言えないです。一番初めにカナダで野外ジャズ・コンサートに
連れて行ってくれたのも兄でした。これってやはり兄の影響大ですね。

> 私は楽器ができないし、楽譜もチンプンカンプンです。

まん丸も同じ船の上です。

こんばんは。

まん丸クミさんのお近くは、いつも時間がゆったり流れているような・・・

今回は特にNimmons さんが奏でるクラの音がそう思わせているんでしょうか。88歳?う~ん、年輪を感じさせますね。私も持ってはいるんですが、クラリネットの音色にはならないですよ(汗)

フリー・ジャズとは少し趣が違う即興演奏でしたね。聴き易くまだ理解できそうな気がいたしました。

イイ感じです。

Re: タイトルなし

香川秀夫さん、こんにちは。

ゆったり時間が流れているのは、どうもヴァーチャルの世界の中だけのようです。(泣)

実際のまん丸ばあ様の生活はもう「ひっちゃかめっちゃか」想像もつかないでしょう。(笑)
平均一ヶ月に一回のライヴやコンサートが多大なエネルギーの元ですね!

Mr. Nimmons の演奏は88歳にしては凄く殺気を感じました。生命が続く限り演奏したいという
欲望というか今でも現役ミュージシャンである事、教育に熱意を持っている事、活き活きして
おられるんです。それが見ている人にもずし~んと伝わってきます。

この演奏をどう表現してよいか分からなかったので You-tube を貼り付けました。フリー・ジャズ
というにはなんだか違和感があるし、ご自分でも一定のカテゴリーに執着したくなかったみたいです。

香川秀夫さんも新しいサックス(アルト)に挑戦ですか?楽しみですね。


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