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2017-08

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Oscar @ 90 - Oscar, With Love concert at TRC 12/11/2015 - 2015.12.18 Fri

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( photos by manmarukumi at The Royal Conservatory 2015 )

昨夜は The Royal Conservatory で、ばあ様にとっての今年最後のコンサートでした。もう半年以上も前からティケットを確保していたので、ソールド ・アウト(完売)というのも心配せずにいられました。その日は何時ものようにダウンタウンにお住いのジャズ仲間のMr.M氏の所に、10分ほどご挨拶に伺うと「僕も行きたいわ」と仰るではありませんか、でもネットではティケットは完売と書いてあったので、もうコンサートのティケットは買えるかどうか分からないけど、とにかくトライしようという事で、ボックス・オフィスまで一目散。

このホールでは Rush Ticket というシステムがあり、当日のショーの一時間前から売れ残っているティケットを、なんと$10で販売しちゃうという有難いシステムがあります。もちろん人気のあるミュージシャンなどはすぐに完売してしまうので、本当に聴きたいアーティストであれば当日まで待つなど到底できないですが。なんと今夜は完売とは言いながらも、奇跡的に最後の二枚が残っていたのでした。そこでMr.M氏はすぐに一枚を購入。時刻は7時前、なんてラッキーな事でしょう。私は$40も出したのに、Mr.M氏はたったの$10でこのコンサートを鑑賞できるのですから。コンサートまで時間があるのでコンサート・ホールの近くの珈琲ショップでまずは一休み。

時間もせまりホールに戻りますと、今日も何時ものように御年配の観客が目立ちますね。さて今夜の出し物はいかに、もしご健在であれば90歳になられる Oscar Peterson のスペシャル・イヴェントです。題して Oscar @ 90 - Oscar, With Love という新譜の発売を記念する、とてもスペシャルなCD完成のお祝いをしようという企画です。

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(ステージに陣取っているオスカーのBosendorfer Imperial piano )

事の始まりは、Oscar Peterson のピアノである Bosendorfer Imperial piano が地下に眠っている。Oscar Peterson がお亡くなりになってから5年後、この素晴らしいピアノの調律にヴィエナからやってきたテクニシャンが、"The Piano needs to be played" と言われたのを機会に、未亡人のケリーさんが多くのアーティストに熱く呼びかけて動ごきだしたのがこの企画でした。Oscar が弾き慣れたこのピアノで、Oscar が作曲したものや、未発表のもの、または彼の為に作られたものだけを集めて制作されました。17名のアーティストがそれぞれの思いを込めて選択したピースを奏でています。参加者には、なんと凄い名前がずらりと並んでおり、今夜はこのCDの企画に参加された、7人のピアニストと一人のベーシストが登場します。

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(この日発売されていた三枚組の新譜)

Kenny Barron, Robi Botos, Bill Charlap, Cerald Clayton, Benny Green, Oliver Jones、Renee Rosnes, Dave Young

なんたる顔ぶれでしょう。長い間聴きたいと思っていたピアニストの名前も、そして今夜ステージに陣取っているピアノは、Oscar Peterson の家の地下室から今夜のコンサートの為に初めて動かされたそうです。司会は、Oscar の愛娘である Celine です。 さあコンサートの始まりです。

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そして忘れていたのですが、このコンサートがインターネットで同時配信されていたのです。そのリンクをここに張っておきますので、お時間があればどうぞご覧下さいな。
Oscar,With Love Free Livestream ←ここからご覧になれます。

一曲目は、Bill Charlap が登場です。A Royal Wedding Suite から Announcement を披露しました。彼がオープニングとはちょっと意外でした。Oscar は1981年に Charles と Diana の為にこんな美しくて優雅な曲を作られていたのですね。

二曲目は、Oliver Jones と Dave Young のデュオで、未録音の娘の為に作曲された Celine's Waltz です。今夜は今迄に聴いた事のない彼の曲が数々聴けるとあってわくわくしますね。Oliver Jones は、彼らが子供の頃からの関係で、なんと Oscar の姉 Daisy にピアノを習っていたのでした。子供の頃よく Oscar の家の前で彼がピアノの練習をしているのを聴いていたそうです。 CDでは、長い間聴いてきた彼なので、やっと生で鑑賞できて今夜はとても嬉しかった。私はステージの裏側に座っていたので、彼のお顔も良く見えて満足でした。

三曲目は、我らが Robi Botos です。彼の選択は、Blues For Smedley、何をやっても上手い、幅の広いその器量には、今の彼の活躍ぶりが何故か分かります。忙しいにも関わらず、一力には頻繁に出演して下さるのが嬉しい。

四曲目は、待ってました!Kenny Barron の登場です。これも今迄にレコーディングされていない曲のようです。Ballad for Benny Carter という思いがこもった曲、彼にこそ弾いてもらいたい曲だそうです。淡々と静かに指がキーの上を流れていくような感じを受ける演奏です。

お次は若い、Benny Green ですね。若いと言ってもかなり昔から Oscar との関わりがあり、初めて彼の名前を発見したのは、1998年の Oscar Peterson & Benny Green から、もう17年も前になるのですね、そして Russell Malone とのデュオ盤で御馴染みの名前になりました。Ralph Moore - Who It Is You Are でも共演していますが、なんだかとてもエネルギーを感じていいと思いました。やはり若い人の演奏を聴くのはいいですね。何か古いモノにはないものが潜んでいそうですから。

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(コンサートの前にケリー夫人が紹介されていた、ヴィエナで制作されたオスカー・シグネチャーの限定版ピアノ)

六曲目は、なんと気になていた Gerald Clayton が Morning という曲を、この曲も今迄に録音されていないお初のピースです。新進の若きピアニスト、色々と注目されている方ですが、今夜お目にかかるとは思いませんでした。 独特のヘアースタイルに、タイトなスーツを着こなして、かっこいい!

お次は、Robi Botos が Canadian Suite から Wheatland、 これは有名だからすぐにカナダ人なら分かってしまうかもしれないですね。Botos が愛を込めて演奏します。彼は Oscar の娘 Celine さんのピアノの先生でもあるんですよ。

ファースト・ステージの最後の曲は Bill Charlap と Renee Rosnes の夫婦のデュオで Sushi です。なんというタイトルでしょう。日本が大好き、和食が大好きな彼のつけたタイトル「すし」は、有名になりましたね。Oscar は、大阪に訪問するたびにある有名なカメラ店を覗くのがとても楽しみだったそうです。日本には深い愛着を持っておられたようです。奏者のお二人は再婚同士で子供が5-6人とか、大家族ですね。とてもお幸せそうな、お二人の楽しい共演です。あっと言う間のファースト・ステージでした。

休憩には、Mr.M氏と二階のロビーで落ち合う事に、彼のティケットはなんと3階のステージ裏でした。でも何処で聴いてもこのホールのサウンドはいいのではないかと思います。とはいうものの、なんだか今夜のベースが心なしか、元気がないような、体調はいかがなものか。そう感じるのは私だけなのか。少し気になるのでした。

セカンド・ステージは、Benny Green の If You Only Knew からスタートしました。なんと優しい曲、彼の創作するものは、とても自然が感じられて、ある時は雄大な風景の中に、ある時は目に見えない繊細な気持ちの奥底に誘ってくれます。そして誰が聴いても理解できる、共通語で語られているという素直さが、愛されているのではないかと私は思います。ジャズに限らず、それがカナダで一番素晴らしいピアニストと言われる所以ではないでしょうか。

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二曲目は、Kenny Barron が再度登場、ちょっとタイトルが分かりません。多分新譜に収められている曲だと思いますが、とにもかくもこんなに近くから彼を観察できるというのが嬉しくて、丁度ピアノに座った角度で私の方向からお顔がばっちりと見えるのです。

三曲目は、Renee Rosnes とベースの Dave Young の美しいバラード Love Ballade、彼女も今回初めて生で聴くピアニストです。オーケストラを編成したり、色々と活躍しておられてカナダで女性でジャズの世界で結構大変な時代を送った話も読みましたが、今はそれなりに自分のジャズが出来るという環境におられる事は素晴らしい、夫である Bill Charlap と最近デュオの新譜を出しておられ益々のご活躍ですね。 2010年のデュオ盤 Double Portait は、少し趣向が変わった盤で好みがあると思いますが、シャガールの絵を使ったジャケットが注意を引いた一枚でした。

四曲目は、Why Think About Tomorrow? を気心のしれた Oliver Jones と Dave Young のデュオで。どれもこれも美しい曲だな、でもそれらはあまりにも人々に知られていない、それを知って欲しいとこの企画を立てられた事は本当に素敵だと思います。

そしてお次はやっと Dave Youngさんのソロがきました。1993年にストロークを患って左腕が使えなくなった Oscar を励まし、その後お亡くなりになるまでずっと精神的なサポートをされたという、友人でもある Daveさんにふさわしい曲、Good Old Friend, 静かなホールにベースの重いサウンドだけが鳴り響きます。なんだか心にジーンとくるピースでした。

そして Oscar といえば、Hyme To Freedom がとても有名な曲ですね。これを聴くと気持ちが一気にピシッとするような気持になります。この曲に秘められた強さとか正義とか、色々なアーティストが好まれて演奏される永遠のヒット作品だと思います。それを若い Cerald Clayton が演奏しました。現在起きているヨーロッパの政治的な複雑で難解な問題、今でも確かに存在する根深い人種問題、それらを背負う今の若い世代、これからの世の中いったいどうなってしまうのであろうか、と思わずにいられない気持ちで聴きかずにいられませんでした。

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(The Bosendorfer Oscar Peterson Signature Edition Piano)

最後に、今日の主人公 Oscar がとても愛したという曲、When Summer Comes を Robi Botos が演奏しました。この曲もなんだかふんわりとした風景が見えそうな曲ですね。今夜はなんと素敵なコンサートだったでしょう。久しぶりのお出かけ、今年最後のコンサートは幸せのテンコ盛りでした。しかもMr.M氏が、この素敵なコンサートをご一緒に鑑賞できて本当に良かったです。

帰りは、子丸が最寄りの駅まで車でお迎えに来てくれました。遅い夜はちょっと心配。行きはバスと地下鉄を乗り継ぎ、なんと1時間半以上もかかってしまいました。はやく運転が出来るようになりたい。もう少しの辛抱ですね。

来週からは、数時間づつではありますが、仕事に復帰します。リハビリはスローでなかなか結果が見えないので、ギブ・アップしそうになりますが、続けて頑張らないとね。

もう12月も中旬を越してしまいました。これから日本も忙しい時期に突入ですね。ばあ様は今年はクリスマス・ディナーは作れないと宣言してあるので、気分的には楽といいましょうか。でもお正月用のお餅と小豆だけは作りたいと思っています。

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(キラキラとショーウィンドーもクリスマスらしさが溢れていますね)

さて皆さまの、クリスマス、お正月のご予定はもうお決まりですか。
ばあ様の今年のホリデー・シーズンは、少しゆっくり出来そうです。

The Bernie Senensky Trio with Harry Allen at Jazz Bistro 9/24/2015 - 2015.11.28 Sat

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( photos by manmarukumi at jazz bistro 2015 )

さあ今日は、9月末に参りましたライヴのお話です。ジャズ・バディーであったS君が日本に帰国される事が決まり、最後にとご招待したのが今回のジャズ・ビストロのライヴであります。

色々なヴェニューの出し物を吟味して、何が一番カナダのジャズ・ナイトの素敵な印象として残るライヴになるだろうかと、思案の末に選んだのが、この The Bernie Senensky Trio with Harry Allen でした。というか本当は長い間、自分が聴きたいと思っていた Harry Allen が出演しているという点ですでに決定ですね。

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Bernie Senensky の通常のトリオと、Harry Allen と思っていたら、なんと今夜のトリオはレギュラーのメンバーではなく、想定外の超素晴らしいメンバーなのでした。ライヴの前にドラマーの Terry Clarke さんが店内におられたので、やはり Harry Allen を聴きに来られているのだと思っていました。

何故なら店内には、最近お亡くなりになったサックス奏者の故 Jim Galloway 氏の未亡人や、音楽関係の方がチラホラといるではありませんか。 やはりトロントではあまり聴く機会の巡ってこない、この Harry Allen なんだものと自分勝手に想像していたわけです。

Terryさんがこちらにやってきたので、前回ビストロでS君と三人で会話した事を覚えて下さっており、「今日はお客様としてですか」と聞くと、「いいや演奏するんだよ」 と仰るではありませんか。しかも私の後ろからベーシストの Dave Young さんがヌーッと表れて、彼が今夜のベーシストだと!

何故僕達が今夜のメンバーだと、ネットのライヴ・スケジュールにも公表されていなかったのか分からないよと Terryさん。そんな分けで私とすればもう最高に嬉しいトリオではありませんか。まさか Daveさんと、Terryさんを今夜一緒に聴けるなんて。ラッキーという分けでS君も Terryさんとの再会に大喜び。

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The Bernie Senensky Interview
(ヴィデオと興味深いお話しが満載、必読のインタヴューです!)

ピアニストの Bernieさんは、もう何回も一力ジャズ・ナイトにも出演して下さっており、このブログでは御馴染みです。マニトバ州生まれの今年71歳です、豊富な経歴にもかかわらず、日本では知名度が低いかもしれません。Art Blakey & The Jazz Messenger にも代役としてトロントのギグだけ参加していた事があるんですよ。(その音源はリンクから)

また Pepper Adams, Chet Baker, Ruby Braff, Randy Brecker, Al Cohn, George Coleman, Buddy DeFranco, Herb Ellis, Art Farmer, Sonny Greenwich, Slide Hampton, Herbie Mann, Frank Morgan, Joe Pass, Art Pepper, Red Rodney, Jack Sheldon, Zoot Sims, Sonny Stitt, Joe Williams, and Phil Woods. など多くのミュージシャンとの共演が彼の経歴に華を添えています。

国内では、 Rob McConnell's Boss Brass, The Maynard Ferguson Orchestra, The Moe Koffman Quintet などの重要なカナダの歴史に残るバンドに在籍していました。現在はレギュラーのトリオに加えて、多くのジャズ・ヴェニューで活躍しておられます。

そして私の愛聴盤である、Bernieさんの "INVITATION" 2011 は、上に挙げたミュージシャン達が彼をアカンパニストとして選んだ理由が垣間見えるでしょう。一曲目の彼の作品からリスナーを引き付けて離さないこの魅力、お歳を重ねられて益々輝いているように思います。

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Invitation - Bernie Senensky (2011)

1. Come To Me - Bernie Senensky
2. Blues For E.J. - Bernie Senensky
3. Come Rain or Come Shine - Arlen & Mercer
4. Bill's Waltz - Gen Perla
5. Invitation - Kaper
6. Old Folks - Hill & Robinson
7. Young And Foolish - Hague & Horwitt
8. It's Alright With Me - Cole Poter
9. My One And Only Love - Mellin & Wood
10. Bud Lines - Bernie Senensky

Bernie Senensky (p)
Gene Perla (b)
Ben Riley (ds)

一曲目からぐいぐい引き込まれる軽快なBernie のオリジナル・チューンです、気持ちよく指が踊っています。この盤では三曲が彼のオリジナル、一曲はベースの Gene Perla の作品です。Invitation を聴くと彼のセンスの良さを感じます、いろいろなミュージシャンのこの曲を聴きましたが、まん丸的にマトに的中ってところでしょうか。初めて彼を聴いた時のアレンジメントの面白さはここでも見逃せません。Come Rain or Come Shine や My One and Only Love を聴いたらその意味が分かるでしょう、少し危ういでもそれでいてしっかりとコントロールされたアレンジメントは、 Bernie さんならではの聴かせどころです。ライヴで彼の演奏に興味が湧くのは、同じところに留まっていない、チャレンジ精神なのかもしれません。カナダにはまだまだ素晴らしいピアニストが沢山います、日本のジャズ・ファンにもっと知って欲しい多くの中の特別なお一人です。(5/16/2015のライヴ・リポートから)

上記のインタヴューのリンクで彼の若かりし頃のそのサウンドがお楽しみ頂けるのでお時間があれば覗いてみて下さいな。
(You-tube のThe Jazz Messenger 音源は、トロントでの貴重なもので個人の所有によるものでBernieさんがアップされているようです)

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さて一曲目は、少し早めのテンポで "S Wonderful" です。Harry Allen のテナー・サックスに魅了されてしまったのは、彼の Body & Soul という曲を聴いた瞬間だったのですが、そのリリカルで原曲を崩さないトラディショナルでシンプルな演奏、その技術は確かで素晴らしく、聴く者の心をしっかりと捉えて離さない、上手く表せないのですが、巧みな技で観客を引き寄せるのではなく、ただただその曲の持つ良さを引き出そうとする感情が、溢れんばかりの気持ちの表現力が魅力なのでした。その美しい音色は、ばあ様の琴線に大いに触れたのでありました。

スムーズな一曲目のブローで、もう今夜のライヴは一目瞭然というか、それを感じたS君と目を合わせて頷きあったのでした。二曲目は、Gershwin の "They can't take that away from me" です、客席に Allen さんのパートナーらしき方が、その彼女にたまに視線を移しながら演奏されるバラードは、恋をしている人でなくても、その感情が伝わってくるような愛の溢れ出るようなサウンドなのでした。いやええわぁ~の世界です!

まったく気負いがなく、とてもリラックスして演奏しておられるそのお姿は好感度も良し。トリオのメンバーの雰囲気もなんだかとても暖かい、なんて素敵なライヴのスタート。しかもライヴの前のお食事もこんなに柔らかなポーク・チョップは稀と思えるくらい、カナダに来て初めて美味しいと思えたダブル・カットのポーク・チョップでした。食いしん坊のばあ様はこの時点ですでに満足度が急上昇ですね。

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(Bernie Senensky, Terry Clarke & Harry Allen at Jazz Bistro 2015 )

三曲目では、彼のオリジナル "June Song" 音符に乗ってそよ風が運ばれてきた。そんな印象を受けた曲、彼のお人柄というか、気持ちの良い爽やかさを感じる作品でした。そして四曲目は "But Beautiful" ここまでは彼の良さが満載のバラード仕立てで、トリオもソロのパートになると待ってましたとばかりに、自分の持ち味を披露するのでありました。久方振りに聴く Dave さんのベースはやはりいいなぁ、少し前に手の手術をされたと聞いていたので、心配していたのですが。今日の演奏ではまったく違和感なしでした。いつもの彼がそこに存在しておられました。今夜のステージの面々は完璧、素晴らしい!

お次は、Woody Herman の曲 "Apple Honey"です。ここではドラマーの Terryさんが大活躍、威勢のよいドラミングで曲を盛り上げます。今回のライヴは、ドラムスとテナーが遊んでいるというか、あれだけ肉体的な演奏をしておられるのに、70歳になられる彼からまったく疲れがみえない。 以前に人生で今が一番、体調が良いんだと仰っていましたが、その小柄な体からはエネルギーがみなぎっているのが感じられるのでした。プロってやはり凄い!

Terryさんは、2002年にカナダ政府から、The Order of Canada という賞を受賞されました。これは色々な分野で優れた業績を築き、足跡を残された人々を対象に、社会に貢献された国民に贈られる栄誉システムで、ベーシストの Dave Young さんも受賞されています。またTerryさんは2004年から5年間連続で National Jazz Awards で最高のドラマーとして選択されました。現在でも世界中を飛び回っておられる、長く人気を持続されておられるドラマーですね。

Terry Clarke の bio はここからどうぞ


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Bernie Senensky の myspace はここからどうぞ

2nd set の始まりです。休憩にはお写真を撮らせて頂いたり、少しお話を聞かせて頂いたりしました。実は、上のお写真もわざわざポーズを取って下さったのです。こちらのライヴでは、写真を撮ったりする事もあまり煩く言われないのでラッキーと言いましょうか。後でご本人の承諾さえれ頂ければブログにアップもオーケーという事で、日本のジャズ・ファンに発信するのだと伝えると、ほとんどのミュージシャンがそれ用に笑顔で応えて下さる親切さです。本当に普通にリラックスして接して下さるのが嬉しいです。

さて一曲目のタイトルが思い出せずじまいです。まあ何時もの事だから仕方がないですね。二曲目はサックスとドラムスのリスポンスが楽しかった"The Way You Look Tonight" でした。彼のスタイルは、いわゆる Lester Young や Howkins や Webster から影響されるオールド・スクールと言われるスタイルだろうけど、そういうカテゴリーにハマらない柔軟性や新しさも感じられてとても素晴らしい今夜の演奏です。日本では人気があるのでしょうか、日本のレーベルからなんと40枚もの盤が発売されていると聞きましたが、なんだか頷けます。

どこかで読んだ記事に、Stan Getz がある時、テナー・サックスのソロリストとして完璧なアイデアって何だろう?と質問された。彼の答えは、僕のテクニックと、Al Chon のアイデアと Zoot のタイム(time)で、それを具体化する事が可能なのは30歳の Harry Allen なんじゃないかと言ったそうです。20年以上も前にこういう評価をされているなんて凄い。(年齢的にAllenはまだ30歳にはなっていなかったのではないかと思うのだけど)プロとしてのギグが、Zoot の代役だったというのも驚きです、まあ若い時からそんな評価がされていたという事なんでしょう。とにかく彼の生演奏を聴いて気持ちが浮上するような感覚を覚えたのでした。

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Dave Young のホームページはここからどうぞ

お次は彼のオリジナルのスロー・バラードです。美しい旋律、そのスムーズなブローはエフォートレスに聴こえますが、それがどれだけの技術を要するのか計り知れません。それをなんでもないように、いとも簡単そうに演奏するのがプロなのでしょうね。今迄に体験したテナー演奏の中で文句なしに最高に良かったです。とにかくリラックスしたマナーで演奏している今夜のミュージシャン達の楽しそうなこと。

次はボサ・ノヴァですね、"One Note Samba" ピアノが気持ちよくスイングしています。やはり本物のピアノで聴く Bernie Senensky はいいなぁ、どんなジャンルであっても彼の個性が光っています。古い殻を毎回ぬぎ捨てるような新鮮さ、場所によってまったく違う演奏を味わえる興奮を与えてくれるのでした。カナダの70代のミュージシャン達は頑張っていますね。最後の二曲は、スタンダートで御馴染みの "Sunny Side of the Street" でした。アップ・テンポで皆さんが楽しく会話をしています。今夜はスタンダードが多いでしたが、最後は彼のオリジナルで "Beautiful to Me" という曲で締めくくりました。あまりにも素晴らしいサックスの演奏と想定外のトリオのメンバーで、今夜は本当に満足なライヴでした。

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Harry Allen の←ホームページはここから

今夜はS君との最後のライヴでした。ばあ様のボディー・ガード、ジャズ・コンパニオンとして本当にお世話になりました。いつも急なお誘いにも時間を都合してお付き合い下さり、心より感謝いたします。

S君の御蔭で、一人では行けない遅い夜のライヴにも通えました。夜遊び大好きのばあ様です。こんな素敵なジャズ・バディーをまた見つけるのは至難の業ですね、なんといっても息子のような若者なのですから。短い間でしたが本当に有難う!

日本での新しい生活、そして新しい環境での研究の御成功をお祈りいたします。

最後に Harry Allen を一緒に聴けて本当に良かったです。



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Jazz Bistro

Steve Amirault Quartet at The Pilot 8/15/2015 - 2015.09.09 Wed

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( photos by manmarukumi at the pilot in Totonto 2015 )

暑い日々が続いており、この北国カナダでもヒート・アラートが出ておりました。日本でも異常に暑い夏のようですが、水分補給には十分に気をつけましょう。さてライヴ涸れした状態のばあ様の生活にも少し余裕が出来てきました。そしていつもの急なライヴ行きを即決行です。

今回は、いつも気になっていたトロントの中心地ブロアー&ヤング・ストリートに位置する、創立70周年を迎える楼館 "The Pilot Tavern" を訪れました。1944年にオープンしたこのターヴァンは、トロントの中心を走る世界でも最長のストリートとして有名なヤング・ストリートに位置しておりましたが、1972年に少し奥まった現在地に移りました。ストアー・フロントからは想像できない広いスペースの店内は、長いバー・カウンターが陣取り、その前面にテーブル席が位置し、その周りにもカウンターが囲むようにあります。ライヴのステージは、そのテーブル席の片隅に適当にスペースを取ってセットする分けですが、このライヴが実はタダなのであります。

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( 飛行機の母体のような素材で建築されているフロント )

毎週土曜日の3時半から6時半までのライヴがタダって嘘みたいでしょ、しかも出演する方はある程度どころか、今が旬のミュージシャン達なのです。しかしこの時間帯が少し週末の行動時間には早すぎるというか、中途半端というか、こんなに良いフリー・ライヴでも満席でないのには驚きでした。予定表をチェックしていると聴きたいグループも結構出演していましたが、行きたいとは思っていても時間的に都合が合わなかったというか、しかし今回はもう何があってもこのライヴ涸れした頭を潤したいと、久しぶりにバスと地下鉄を利用して1時間弱かかってトロントまで遠出。いや~っ、そのかいがありました!

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( Steve Amirault, Steve Hall and Steve Wallace at The Pilot 2015 )

今回のメイン・ミュージシャンは、ケベック州から去年トロントに移住して来たというピアニスト兼ヴォーカリストの Steve Amirault です。どうりで聴いた事のない名前だなとは思っていましたが、Quartet のメンバーは御馴染みの凄腕ばかりだから、きっと間違いないと確信しました。彼らと一緒ならば悪いわけない、というのが理由なのですが、 Steve Amirault さんは、なんと九州は福岡のホテルでピアノの弾き語りを4か月ほどやっていたそうです。その時の経験をオタワの Ottawa Citizen という新聞にインタヴューされている記事を見つけたのでリンク致しますので、お時間のある方は、覗いてみて下さいな。かつ丼と、鍋焼きうどんと、刺身が大好きという彼の日本での様子です。

↓オタワの新聞記事
Steve Amirault's Japanese Hotel Gig Adventure

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( Steve Amirault and Kevin Turcotte )

Steve Amirault homepage ← click here

実は今回のばあ様のお目当ては、トランぺッターの Kevin Turcotte とピアニストの Robi Botos の弟のドラマーの Frank Botos を聴きたいというのも一つの理由でした。Kevin Turcotte は、今年50歳になる技術的にも、実力も、センス感も素晴らしいトランぺッターです。もう何度も彼のパフォーマンスは観ていますが、やはり生音を聴くのはとてもエクサイティングです。Dave Young Quartet の一員でもある彼ですが、多くの素晴らしいアーティストと共演されています。そして最新のホット・ニュースは、9月に発表される "Born To Be Blue" という映画のトランペット演奏を担当しているのです。

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そうです "Born To Be Blue" といえばトランぺッターの Chet Baker ですね。彼を題材とした映画が、2014年カナダのオンタリオ州の北にある小さな Sudbury という街で撮影されました。同じくカナダのピアニストでコンポーザーでもある David Braid が音楽監査をしました。なのでとても楽しみにしているのです。しかもそれに出演する俳優が、なんと Ethan Hawke なのです。少し感じが似ていないでもないですが、細い危うい感じがピッタリかもしれませんね。彼の出演していた "Snow Falling On Cedars" を観て好きになりましたが、どんな演技をされているか楽しみです。少し趣向を凝らした構成で撮影されたストーリーなのだそうです。ティケットが取れるといいのだけど、どうなりますやら。

まだ情報も少いゆえ彼のファンも、そのトランペット演奏を担当しているなんて知らないかもしれません。演奏の後、少しお話をする機会を持ち、「実は貴方が音楽担当した映画が、9月にオープンされるのを楽しみにしているのよ」 と興奮を抑えきれずに伝えましたら、「へーっ、どこで情報をしいれたの」 と驚きの様子。「私はチェットの大ファンで、貴方のライヴもフォローしているの、以前に「一力」にも来て下さったでしょ、そういう分けで情報も色々と収集しているの」 と、嬉しそうな Kevin さんのお顔でした。

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Frank Botos は、CDを聴いてすでに御馴染みの名前でしたが、実際では今日が初めてのドラマーです。ピアニストの Robi Botos の兄弟で Dave Young Quartet の "Mean What You Say" や Robi Botos Trio "Place to Place" を聴いて良いドラマーだなとは思っていましたが、やはり今一実際の響きというのが分からなかったというか、でも今回の実演を聴いて、メリ張り感、グループの中での立ち位置と、そのコントロールの技が際立っていました。ばあ様に取っての 「いや~ええわ~っ」 の世界観を持っていました。

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( Frank Botos at the Pilot )

さて1st set の始まりは、曲は分かっているのに何時ものようにタイトルが出てきません。 二曲目は確かにLouis Armstrong がよく演奏している曲なのに、これまたタイトルが出てきません。ばあ様もこの展開には流石にショックを受けました。何でも継続してやっていないとドンドンと忘れていくのですね。しかし Quartet の演奏は素晴らしい。ミュージシャン達がとてもリラックスしており、皆が触角を触れ合いながら調整をしている姿が今から深まっていくライヴの行き先をわくわくさせてくれますね。三曲目にやっとタイトルが出てきました。それは Antonio Carlos Jobim の "Triste" でした。暑い夏にはかかせないボサですね。こういうのが一曲入ると雰囲気が一瞬に変化するのが楽しいところです。

4曲目に、きました!"I Fall In Love Too Easily" ですね、これですぐに Kevin が今回の映画を意識しながら、曲を選んでいるのだと思いました。美しいバラード仕立てで、彼のトランペットが優しく歌っています。「いやぁ~、ええわ~」の世界です。お次はかなり早いテンポの "Misty" でした、歯切れの良いドラムス、なかなかホットなソロを披露されました。観客の中の Botos Brothers のお父様がとても満足そうにドラマーの息子さんを見守っている姿が何とも言えず温かいです。あっと言う間にファースト・セットが終わってしまいました。久方振りのライヴ、やっぱしこのライヴを選んで良かった!

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( Steve Wallace at the Pilot )

2nd set は、ジャズ・スタンダードの "Alone Together" で始まりました。それぞれのソロ・パートを十分に取って聴きごたえがある一曲でした。やはり知っている曲だと余裕を持って聴けるというか、アレンジなどを楽しめるので嬉しいものですね。

ベーシストの Steve Wallace はトロントでは、なくてはならない存在です。きっとミュージシャンズ・ミュージシャンと言われるようなそんな方なのかもしれません。色々な場所で、彼の演奏を聴きますがそのたびにあっと言わせるフレーズが飛び出します。今回もじわじわとその良さが滲み出るような演奏をされていました。ある時は汗が飛び散るような熱い視線をなげかけ、ある時は消え入るように霧がさざめくごとく、何故彼が、とてもポピュラーな存在なのか分かるでしょう。

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( ちょっと不思議な立ち位置でのセッション )

お次はピアニスト Steve Amirault の作品で、彼の御祖母様に捧げられた、とても優しい曲 "Je vois Cl'emonte danser" です。彼のホームページで試聴できますので、お試しくださいな。ピアニストだけでなくヴォーカリストと並行して活動されているだけあって素敵なヴォーカルです。良く考えると彼の名前を知ったのは、ピアニストというようよりもヴォーカリストとして You-tube で偶然に発見したのかもしれません。記憶が定かではないのですが、どちらにしても現在はトロントで活動なさっているので、これからは聴く機会もあるかと思います。

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( Steve Hall、 ニューヨークから最近カナダに帰還したミュージシャン )

三曲目は、飛び入りのテナー・サックス奏者 Steve Hall の登場です。この方も、つい最近ニューヨークを拠点に活動されていましたが、古巣のトロントに戻って来られたそうです。Steve Amirault と同じケベック州の友人という関係だそうで、今日は一曲だけ特別に腕慣らしという事でしょうか。Kevin と一緒に "Oleo" の風塵を巻き起こしました。

強面な彼でしたが、休憩にお話ししてみると、なんと可愛い笑顔で恥ずかしそうにお話して下さるのが印象的でした。「ニューヨークでは若くて才能のある奴がワンサカと出てくるんだよ、そんな場所ではなかなか太刀打ちできないさ」と、ライヴの仕事を取るのも一苦労さ、そして生活の為には道路工事などもやってなかなか大変だよと、裏話もして下さいました。ミュージシャンとして生活するって大変なのだなって思いました。

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( 平均年齢65歳はいっているであろうという観客層でした。何かの集まりなのか楽しい雰囲気 )

そして休憩を挟んで、3rd set です。こんなに聴かせてもらって本当にタダでいいのと言いたくなるくらい、良いライヴです。一曲目は、"Like Someone In Love" これも Chet で御馴染みの曲ですね。この Quartet 本当に良い感じですね。とにかくリラックスした感がとても私自身をリラックスさせてくれるというか、土曜日の午後にはピッタリというか、あまりヘビーでなくて、かと言ってダレているのではなく、この適量感がなんとも言えなく心地良いのでした。お次も Chet の十八番ですね。"It Could Happen To You" です。しかし Jimmy Van Heusen って良い曲を作る方ですね。ポピュラー・ソングからジャズ・スタンダードになってしまうのが頷けます。

今日は Steve Amirault のヴォーカルでこの曲を楽しみました。声質は私好み寄りなので、もっと違うセッテングで(夜にお食事と静かな環境で)聴きたいなと思いました。アレンジにもセンスの良さを感じます。これからもっと聴く機会があるでしょう。最後にきたのは、Ray Noble の "Cherokee" で景気よく終わりました。今回は早く決断して、このライヴに来たのは正解でした。気分も爽快!ばあ様は、やはりこれで精神状態を維持しているんだなとつくづく実感しました。

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( Botos Brothers の御父様 )

そして今回テーブルをご一緒したのが、ドラマーの Frank Botos (ボトッシュ) 兄弟の御父上でした。三人の息子さん達が全員トロントでジャズ・ミュージシャンとして活動しておられる事をとても誇りに思うと、ハンガリアン訛りの英語で語っておられました。ご自身もドラマーであり、そのロマ・ジィプシーの音楽と伝統とルーツをしっかりと息子達は受け継いでいる事でしょう。

さて今回もばあ様の急なリクエストに応えてくれたS君、本当に有難うね。もうすぐ日本に帰ってしまうS君、日本に帰国されるまでに後何回ご一緒できるか分かりませんが、ばあ様の我儘を何時も聞いて下さって本当に感謝です。トロントで素晴らしいミュージシャン達の演奏を体験してカナダのジャズ・シーンを脳裏に焼き付けて帰国されて欲しいと願います。

今時の日本の若者も捨てたもんじゃないね、と感心するばあ様なのでありました。礼儀正しく、努力家で前向き、しかもばあ様に優しく、ヒューモアーもあり、素敵なジャズ・コンパニオンでありました。さて最後はどのヴェニューへお誘いしましょうか・・・・


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The Pilot in Toronto


Neil Swainson & Bernie Senensky at Ichiriki 5/16/2015 - 2015.05.27 Wed

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( photo by Toshi Ichiji at Ichiriki 2015 )

あっと言う間に初夏を通り越し、この数日は真夏状態のミササガ(トロントの隣市)です。なんと30度を越す暑さです。日本の皆様は元気でお過ごしでしょうか。さて初夏の第一歩は、素敵なデュオ・ライヴから始まりました。聴きたいと思っていたピアニスト Bernie Senensky さんを、ジャズ仲間さんがリクエストされたと言うので嬉しくなりました。以前にも一力に数回出演して下さっているので、もう観客の好みを把握しておられるでしょう。ここではあくまでもスタンダードが喜ばれるというか、オーソドックスな曲目に人気があります。それは観客の年齢層的なものもありますが、それでもアレンジなどで同曲でも新鮮で素敵な演奏に毎回導いていくのがプロの仕事だと思うので、ばあ様としては何を演奏されてもエンジョイ出来るのだと思います。ここではこういうスタイルのジャズが聴ける場所だと思っています。そして同じミュージシャンが違ったヴェニューで、違った顔で演奏している時は、また格別新鮮に映ります。この差がとても楽しいのですね。さて今夜は何が飛び出すのかな。

1set, set の一曲目は、ロマンテックなメロディーを粋な都会的な雰囲気に置き換えた "Yours Is my heart alone" から始まりました。Bernie Senensky のアレンジメントは本当に興味深い。大好きなNeilのベースとはとても相性が良くてスタンダードが新鮮な表情をもたげます。

お次は、Benny Golson の "Whisper not" なんと20分で書き上げたというこの曲は多くのミュージシャンに愛されていますね。キャッチーな出だしで始まります、Bernie のフレージングの付け方がまた最高に個性的です。いつも意外な驚きが飛び出すのか楽しみです。

何が飛び出すか分からないというのは、Neil が持つ相方への思いも同じようです。三曲目の "It's All Right With Me" ではクラシカルのピースが入ったり、超高速の Stride Piano が入ったりと本当に何が起こるか分からない状態です。それがとても楽しくて、やはりこういう場所だからこそ出来るお茶目なライヴですね。他のヴェニューではこういった遊び心の入ったリラックスした演奏はあまり聴きませんもの。

私にとっては、Chet Baker が直ぐに浮かんでくる Jule Styne, Sammy Cahn の曲 "I Fall in Love Too Easily" です。Neil のソロがとてもロマンテックで益々音色に深みが増し、なんとも言えない妖艶なベースの響きが恋の行方を指しているようです Chet の青い表情とはまた違った素敵な恋に落ちる一瞬か。

この曲は、私にとって何故か Charlie Byrd のギターが思い浮かびます。 Isn't it Romantic というタイトルの盤がお気に入りなのですが、とても地味な内容で見過ごしてしまうような盤なのに、何故か好きというような一枚なのです。そんな盤って貴方もお持ちではありませんか。ちょっと意外な選曲でライヴでは初めて聴いたような、それともただ覚えていないだけなのか・・・ファースト・セットの最後は Bossa Nova で締めくくりです。トロントも初夏と言う感じになり、ボサが似合う季節になってきました。今年の夏はどんな気候になるのやら、想像もつきません。猛暑だけにはならないで欲しいですね。


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( Neil Swainson and Bernie Senensky at Ichiriki 2015 )

2nd. set の始まりは御馴染みのスタンダード, Cole Porter の "You'd Be So Nice To Came Home To" ピアノのタイミングがとても興味深いです。以前から彼のアレンジメントには、何か不思議な要素が含まれていて、その危うさが癖になってしまう説明のつけようのない何かを感じています。きっと理論を学んだ方ならばそれをピン・ポイントできるのでしょうが、感覚だけで聴いているばあ様にはそれが何だか説明が出来ません。そのピアノに Neil のあまり崩さないメロディー・ラインがとても活きているのです。お次は4ビートの " Falling in Love with Love" 気持ちが良いですね、この曲はやはりヴォーカルの為のような気がします。

3曲目は、サックス演奏の印象が強い "Chelsea Bridge" です。私にとっては Ben Webster のテナーが一番に頭に浮かんできます。むせび泣きのテナーというのか、この人の、この一曲だと信じていたのですが、最近になって Harry Allen の演奏を聴いてちょっと考えが変わりました。Harry Allen がこんなに素敵なプレーヤーだとは気がつきませんでした。今夜のピアノのアレンジメントはとても変わっていて、この曲の持つ sexy さというのがあまり感じられず、ドライな少し乾いた感じのサウンドで仕上がっています。Bernie 節とでも言うのでしょうか、ピアノとベースの Chelsea Bridge は意外な新鮮さがあって気にいりました。

次は私の大好きな曲、Dave Brubeck の "In Your Own Sweet Way" 優しさと暖かさが溢れる曲、これを聴いていると心の底から愛おしい気持ちが湧き出てくるから不思議、Brubeck の人柄というか、彼の作品って本当になにげない日常にあふれている愛を、一瞬にして掴み取るのが上手な人だとつくづく思います。Brubeck はピアニストとしては、あまり好きな部類には入らないけど、作曲家として大好きな一人です。

そして最後に最高に好きな曲が、映画 「慕情」 のテーマ・ソングである " Love is Many Splendored Thing" ではありませんか。 これが最後にくるとは想像もできませんでした。なんだかとても幸せ!良い締めくくりですね。Neil と Bernie, 今夜も素敵なライヴをありがとう!

ここに近年のお二人のCDをご紹介しておきましょう。どちらも素敵な仕上がり、カナダのミュージシャンがもっと日本に認識される事を願って。

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Neil Swainson & Don Thompson / Tranquility ( Cornerstone Records 2013 )

1. Quasimodo
2. Smoke Gets In Your Eyes
3. I Remember You
4. Tranqil (N.Swainson)
5. A Face Like Yours
6. Time Remembered
7. Mr. Lucky
8. Everybody's Song But My Own
9. Never Let Me Go

Neil Swainson (b)
Don Thompson (p)

これは Neil Swainson の二枚目のリーダー盤です。彼ほど多くのコーリーグの盤に必要とされているベーシストはいないのではないかと思います。ヨーロッパや日本まで幅広く活躍しているというのに、リーダー盤が二枚目とは少し残念ですが、今回はなんと Don Thompson とのデュオとは嬉しいですね。 Don が一人いるとミュージシャンを三人も得たようなものだと言われているモルティ・タレンテッドの Don ですが、今回はピアニストとしての彼を楽しむ事ができます。Neil のリーダー盤であっても、前にぐいぐい押し出すのではなく、あくまでもデュオとしての相対性を保って静かな会話を織り成しています。Tranquility は本当に素敵な時間を提供してくれます。あくせくした今に余裕を与えてくれる満足の一枚。


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Invitation - Bernie Senensky (2011)

1. Come To Me - Bernie Senensky
2. Blues For E.J. - Bernie Senensky
3. Come Rain or Come Shine - Arlen & Mercer
4. Bill's Waltz - Gen Perla
5. Invitation - Kaper
6. Old Folks - Hill & Robinson
7. Young And Foolish - Hague & Horwitt
8. It's Alright With Me - Cole Poter
9. My One And Only Love - Mellin & Wood
10. Bud Lines - Bernie Senensky

Bernie Senensky (p)
Gene Perla (b)
Ben Riley (ds)

一曲目からぐいぐい引き込まれる軽快なBernie のオリジナル・チューンです、気持ちよく指が踊っています。この盤では三曲が彼のオリジナル、一曲はベースの Gene Perla の作品です。Invitation を聴くと彼のセンスの良さを感じます、いろいろなミュージシャンのこの曲を聴きましたが、まん丸的にマトに的中ってところでしょうか。初めて彼を聴いた時のアレンジメントの面白さはここでも見逃せません。Come Rain or Come Shine や My One and Only Love を聴いたらその意味が分かるでしょう、少し危ういでもそれでいてしっかりとコントロールされたアレンジメントは、 Bernie さんならではの聴かせどころです。ライヴで彼の演奏に興味が湧くのは、同じところに留まっていない、チャレンジ精神なのかもしれません。カナダにはまだまだ素晴らしいピアニストが沢山います、日本のジャズ・ファンにもっと知って欲しい多くの中の特別なお一人です。



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( HOMEFRONT という雑誌に、今年一力さんが掲載されました。左から、伊地知さん、りきさん、中西さん )

最近 "HOMEFRONT" というインテリア関係の雑誌に一力さんが掲載されました。トロントの中心地に店を構える一力さんは、オフィス街に位置するのでランチも満席です。ボリュームのあるランチ・スペシャルに人気があり。

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今夜のお品書き:
突出し - 枝豆
サラダ - 野菜の寒天寄せ。梅マヨネーズと枝豆ソース。
煮物 - 牛肉と野菜のすき焼き風
焼き物 - 殻付き牡蠣の田楽。こごみと行者ニンニクの和え物。シーチキンとキヌアのズッキーニ巻き。
酢の物 - 鶏、鮭、茄子の南蛮漬け
寿司 - 鮪、鮭、ハマチ、鰯、帆立貝柱、明太子
汁物 - ハマチの澄まし汁
デザート - チーズケーキ

今夜のメニュー、一皿目の色あいがとても綺麗、野菜の寒天寄せに散らされていた桜の花びらは、なんと大根を薄く切ったものでした。綺麗なピンクの梅ソースと枝豆ソースの上品なお味が野菜の味を引き立てます。シンプルなお吸い物のしっかりしたお味が口の中にほわ~んと広がります、澄んだお汁に潜んでいるハマチがとても甘く感じました。生牡蠣の苦手なばあ様にも美味しく頂けた牡蠣の田楽も嬉しい一品です、初めて田楽にして頂きました。そして力さんが握るお寿司に舌鼓です、これでもう満足感に到達ね。次回はどんな御馳走で私達を楽しませて下さるのでしょう。ジャズだけでなくディナーも楽しめるこのライヴは、本当に素敵な大人の時間ですね。

今夜も楽しい時間を有難うございました。


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link to Ichiriki Restaurant

Latin Jazz: Hilario Duran Trio (Afterworks) 4/29/2015 - 2015.05.11 Mon

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( photos by manmarukumi at Roy Thomson Hall 2015 ) 

今夜は、急な予定外のコンサートのお誘い。いいですね、しかもずっと気になっていたけれど聴く機会が訪れなかった "Hilario Duran Trio" (ヒラリオ・デュラン) だというではありませんか。それに Roy Thomson Hall という意外な場所での出演はとても興味をそそります。いったいどういうコンサートが繰り広げられるのか皆目見当がつきません。

今回はジャズ・バディーのS君のお誘い 「タダ券が二枚手に入ったので、急なお誘いではありますが、まん丸さんのご都合はいかがですか」 という分けで、ライヴとコンサートのお誘いには 「ノー」 という返事が出来ないばあ様。しかしダウンタウン・トロントまでこのラッシュ・アワーでは軽く1時間半はかかるだろうし、準備を含めて2時間弱しか時間がない!ばあ様はこういう場合、俄然パワーが漲るのであります。凄いスピードでお色直し、そして少し遅れるかもしれないけど待っていてと言ったにも関わらず、なんと約束の時間きっちりにトロントに到着という早業。流石にばあ様だ、S君もびっくり。

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(今回のコンサートは、一番階上の見晴らしの良いお席です)

今日の出し物は、ティケットを手に入れたS君も何か分からないという、ステージにはなんとフル・オーケストラの用意がされており、ピアノやドラムスも2台ずつセットされており、何か素晴らしい事が起こるに間違いない。そんな雰囲気ですね。

今夜のトリオはCDでは御馴染みのアーティスト達です、キューバ生まれのピアニストHilario Duran, ギタリストの兄弟と活躍しているベーシストのRoberto Occhipinti, そして多くの盤で名前を拝見するドラマーのMark Kelsoです。

わくわくしながら今夜のプログラムに目を通すと、"Concerto for Latin Jazz Trio and Orchestra" とありますね。なるほどそれでフル・オーケストラの準備がされているのですね。そして今夜披露される作品は、Toronto Symphony Orchestra が Hilario Duran に Comissined (委託) されて初めて公共で披露される World Premiere ということでした。

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(photo from TSO web site)

作品のタイトルは、"Sinfonia Afrocubana" ということで、アフロ・キューバン風のシンフォニーということで、アフロ・キューバンのリズムとスペインのフラメンコの要素とジャズとクラシカルの影響を受けた作品ということらしい。作品は基本的には、Bembe 6/8 pattern のアフロ・キューバンのリズムということで。ばあ様にはこの "Benbe" っていったい何?という感じでしたが、さすが若いS君、隣のお席で何やらこちゃこちゃとしていると思いきや、「まん丸さん、Bembe とはこういう感じのリズムです」 とスマートフォンから楽譜を取り出して説明してくれるではありませんか、いや~びっくりした若者は文明の利器をこんな風に使うのね。ばあ様の疑問に即返答してくれるのであった。もう感心したの一言、未だに旧式の携帯を使っているばあ様は, 時代の変化に圧倒され続けるのでした。

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さて今夜は、パーカッショ二ストの Joaquin Hidalgo さんという方がこの African Bata drums の Okonkolo, Itotele, Iya という3つのドラムスを演奏していました。The first movement, The second movement, The third and final movement と3部の構成で、このドラムスがとても素晴らしい役割を果たしていました。初めは何を期待してよいか分からなかったのですが、ラテン・ジャズとオーケストラがなんと自然に融合していることか、まったっく違和感がなく、とても素晴らしいハーモニーを醸し出しているではありませんか。オーケストラが出しゃばりでる事もなく、トリオの存在もしっかりとそこにあり、パーカッションのソロが要所要所で生き生きと存在感を主張しています。

そして Hilario Duran のピアノ演奏の素晴らしいこと、キューバン・ピアニストの彼は、私の好きな、Chucho Valdes の後継者とも言われ、多面においてその才能を発揮されていますが、今夜は作曲家、演奏家として素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。これは本当に聴きにきて良かったと思えたコンサートでした。とてもエクサイティングで心が躍るような、そんなリズムとオーケストラの気持ちのよい流れとが合体しているパフォーマンスは、贅沢というかフル・オーケストラを使ったラテンの乗りとは、普段御馴染みでない組み合わせがとても新鮮でもありました。このタイトルにぴったしの作品でした。

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さあ次のステージはいったい何が飛び出すのでしょう。トロント・シンフォニーによる、Leonard Bernstein の "Symphonic Dances from West Side Story" でした。 
Ⅰ.Prologue  
Ⅱ.Somewhere 
Ⅲ.Scherzo 
Ⅳ.Mambo
Ⅴ.Cha-cha 
Ⅵ.Meeting Scene 
Ⅶ."Cool"Fugue
Ⅷ.Rumble
Ⅸ.Finale

この映画 「ウエスト・サイド・ストーリー」 は、もう何十回となく観ましたね。しかも毎回涙なしには観ることができません。現代版の 「ロミオとジュリエット」 です。大好きな作品、それが今夜の出し物とは嬉しいですね。どのピースを聴いてもシーンが鮮明に浮かび上がります。アレンジも新鮮で、聴きなれたメロディーに楽しさが加わります。

最後に、ブラジルの心と魂と言われる、Heltor Villa-Lobos の Bachianas Brasileiras No.8、と Alberto Ginastera の For Dances from Estancia, ばあ様にはまったく馴染みのない作曲家の作品だけれど、異国の味がムンムンします。もちろんラテンをテーマにした今夜のコンサートだから自然な流れということですが、久しぶりのトロント・シンフォニーの演奏は素晴らしい、そしてなんとコンサート・マスター(第一ヴァイオリン奏者)は、一力のジャズ・ナイトにたまに顔をだされるジャズ・ファンの一人なのです。実際にステージに立つ彼を拝見したのは初めて、ステージではなんと大きく見えることか。大きな拍手を送りました。

さて何十年ぶりに訪れたコンサート・ホールは、印象がすっかり変わっていました。30代にはホールのメンバーになって頻繁にコンサートに通ったものですが、ジャズに比重がシフトしてからはすっかりご無沙汰でした。古くなったコンクリートの壁の色がこんなにくすんだ色をしていたかしら、部分的に使用された木目の色の変化にも年月を感じました。今夜は空席も目立ち、ジャズとシンフォニーという特殊な興行もなかなか大変だなあと感じました。しかし今夜は新鮮な企画とパフォーマンスで、とても満足しました。たまにこういうのもいいものですね。S君、ばあ様をお誘い頂き有難うございました。今夜も幸せな気分で家路についたばあ様でした。

お時間があれば聴いてみてね。
*Hilario Duran Trio
*Mark Kelso 6/8 solo & rumba


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(最近、とても素敵とおもった夜のショー・ウィンドゥ。男性の夏のジャケットが素敵ですね)

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